上村達男

上村達男（うえむら たつお）

上村達男氏は、1948年4月19日生まれの日本の法学者で、主に商法、金融商品取引法、資本市場法を専門としています。彼は早稲田大学から法学の博士号を取得し、同校の名誉教授として知られています。また、かつては弁護士としても活動しており、そのキャリアは多岐にわたる事績を誇っています。

人物

上村氏は、アメリカの市場原理主義に基づく規制緩和の傾向に早くから異議を唱えてきました。彼は各州で行われている規制緩和競争を批判し、特にデラウェア州の会社法が租税回避地となり、自由と規律のバランスを欠いている点を指摘しました。彼の観点では、自由の拡大だけではなく、法と規制の整備が不可欠であり、日本における会社法の改正は失敗であったとしています。

加えて、2008年の金融危機は、リスク管理の問題からではなく、法と規制の欠陥が根本原因であると論じています。これは彼が金融法においても意見を述べる際の基本的な考え方であり、単なる自由競争の推進では持続可能な経済が築けないという強いメッセージを伝えています。

略歴

上村氏は1967年に早稲田大学高等学院を卒業し、その後1971年に法学部を卒業。1973年には大学院法学研究科の修士課程を修了し、1977年に博士課程を満期退学しました。彼は、その後北九州大学で専任講師、助教授を経て、専修大学の助教授及び教授となり、1986年から1990年まで教授を務めました。立教大学を経て、早稲田大学に移り、数々の役職を歴任しました。最終的に2019年に定年退職し、名誉教授となっています。

主な業績と研究テーマ

上村氏の研究テーマには、証券取引法理論体系の再構築や公開株式会社法の研究が含まれています。彼は、これらの分野において多くの著書や論文を執筆しており、特に「会社法改革―公開株式会社法の構想―」は広く評価されています。彼の著書としては、『会社法』や『金融ビッグバン—会計と法』などがあり、各種法学系の文献において重要な位置を占めています。

社会的活動

上村氏は、法律に関連するさまざまな社会的活動にも参加しており、元司法試験考査委員や法制審議会の委員として法的制度の改善に寄与してきました。金融審議会や経済財政諮問会議などのメンバーとしても活躍し、法律と経済に関する重要な課題に貢献しています。また、日本投資者保護基金理事などとしてもその知識と経験を活かしています。

受賞歴

彼の業績は多くの受賞によっても認められており、特に2004年に受賞した大隅健一郎賞は、彼の学術的な功績の一環として評価されています。

まとめ

上村達男氏の理論と業績は、日本の商法や金融法の発展に重要な影響を与えています。彼の考え方や法制度に対する視点は、今なお多くの法学者や実務家にとっての指針となっており、その影響力は今後も続いていくことでしょう。

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