上條信山

上條信山の生涯と功績

上條信山（かみじょう しんざん、1907年9月20日 - 1997年2月12日）は、日本の教育者および書家として知られています。長野県出身の信山は、書道の世界に大きな影響を与え、特に戦後の教育改革に貢献したことで名を馳せました。彼の本名は周一で、独自の書風を確立したことで書道教育の発展に寄与しました。

生い立ちと教育

信山は1907年に長野県東筑摩郡神林村（現松本市）で、農家の三男として誕生しました。幼少期は野球に情熱を注いでいましたが、小学校の担任教師に影響を受け、書道にも関心を持つようになります。彼は秋山白巌の内弟子として、書道の技術を学びました。

松本教育実業学校を卒業後、信山は小学校の教員として勤務しながら、長野師範学校を受験します。1925年に入学し、在学中に信濃毎日新聞と長野県が主催する県展で最高賞を受賞しました。1929年に卒業後、小学校で教職に就きますが、4年後に上京し、さらに書道の腕を磨くことを決意しました。

書道教育の復興

戦後、日本ではGHQの指導のもと教育改革が行われました。特に1947年の学習指導要領では、書道が小学校の自由研究に位置づけられることとなり、書道の地位が低下することを危惧した書道界では再必修化を求める運動が起こりました。

このような背景の中、上條は1949年に文部省教育課程審議会の委員に任命され、書道教育の必修化を訴えました。彼は1950年に『書道単元学習と評価法』を出版し、書道教育の理論を形成しました。彼の活動は実を結び、1951年には書道が国語科の一部として再び必修化されました。これにより、書道の教育が学校で広く行われるようになりました。

書家としての評価

書家として、上條は1951年の第7回日展で特選を受賞し、第1回改組日展の審査員にも選ばれました。1969年には日展内閣総理大臣賞を受賞し、多くの栄誉に恵まれました。1981年には勲三等瑞宝章を受章し、文化功労者にも認定されました。1996年には松本市名誉市民として表彰され、翌年の1997年に89歳で亡くなりました。

書風の特徴

上條の書風は、30代から40代までの古典的なスタイルを基礎にし、50代から60代には自己のスタイルを模索する過程が見られます。そして70代以降には、その集大成ともいえる円熟期を迎え、多くの代表作が生まれました。彼の師である宮島詠士から受けた影響は強く、特に「逆入平出」の技法を学びました。

作品と著作

上條の作品は数多くあり、松本市美術館には彼の生涯にわたる作品を展示する記念室が設けられています。また、著作も多数あり、教育者としての彼の思想や書道に対するアプローチを記したものが今日でも多くの人々に読まれています。

結論

上條信山は、教育者としての顔と書家としての顔を持ち、特に書道教育の復興に多大な貢献をした人物です。その影響は現代にも及び、彼の遺した成果は今なお多くの後進に受け継がれています。

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