上海トランスラピッド

上海トランスラピッド：世界有数の磁気浮上式鉄道

上海トランスラピッドは、中国の上海市浦東新区にある竜陽路駅と上海浦東国際空港を結ぶ磁気浮上式鉄道です。ラインカラーはティールグリーンで、その特徴的なデザインと高速走行で世界的に知られています。

概要

この鉄道の最大の特徴は、その最高速度です。営業運転時の最高速度は431km/hに達し、2015年10月時点では常設の運行としては世界最高速を誇っていました。ただし、2020年5月以降は、最高速度が一時的に300km/hに制限されています。試験走行では、2003年に501km/hという中国国内の最高速度記録を樹立しています。

編成は全長153m、幅3.7m、全高4.2mで、2クラス合わせて574人が乗車できます。この路線は、万博などで期間限定で運行された実用線を含めれば、世界で9番目の営業運転を行った磁気浮上式鉄道です。しかし、他の路線が100km/h程度の最高速度であるのに対し、上海トランスラピッドは超高速運転を行う世界で唯一の営業路線です。

浦東国際空港と龍陽路駅間の29.863kmを、最速7分20秒で結びます。運行時間は、空港発が7:02から22:40、龍陽路駅発が6:45から21:40です。最高速度430km/hでの運転は、一部時間帯に限られており、それ以外の時間帯は300km/hで運行されています。なお、2020年5月以降は、全時間帯で300km/h運転となっています。

歴史

上海トランスラピッドは、2001年3月1日に着工し、2002年12月に開通、2004年1月1日に開業しました。2024年3月現在、現存する最古の磁気浮上式鉄道です。常設の実用路線としては、世界で3例目となります。車両はシーメンスとティッセンクルップの合弁事業で製造され、電気設備はVahle社が開発しました。建設費は12億ドルに上ります。軌道の建設には、沖積層の地質に対応するため、柱の間隔を狭め、コンクリート杭を深くまで打ち込むなどの工夫が凝らされました。

当初、始発駅である龍陽路駅は上海の中心部から離れていましたが、将来的には上海万博会場や上海南駅を経由し、さらに杭州市まで延伸する計画があります。

運行状況

路線は、上海磁気浮上式鉄道交通開発社によって、6:45から21:40まで、15〜20分間隔で運行されています。開業当初は乗車率が20%と低かったのですが、運行時間や路線の短さ、切符代の高さなどが要因とされています。道路を利用した場合、同じ距離を移動するのに45分かかるため、磁気浮上式鉄道の速さが際立ちます。

費用

2007年の報告によると、2006年には400万人の輸送で運行費用を賄うことができたとされています。費用の内訳は、エネルギーが64%、整備が19%、運行/支援サービスが17%となっています。エネルギー費用の割合が高いのは、高速運転と所要時間の短さが影響しています。

運賃

座席は普通席と貴賓席の2種類です。2016年現在、片道運賃は普通席が50元、貴賓席が100元です。当日往復券や航空券の提示、上海公共交通カードの利用で割引が適用されます。

建設

上海トランスラピッドの建設には、総額100億元（約13.3億米ドル）の費用と、2年半の期間を要しました。路線全長は30.5kmで、整備施設への接続軌道も含まれています。

延伸計画

2006年1月には、上海-杭州間の延伸計画が提案されました。この計画は、既存路線を上海虹橋国際空港、上海南駅、上海万博会場を経由して杭州まで延伸するもので、2空港間を約15分で移動できるようにすることを目指していました。しかし、沿線住民の電磁波に対する懸念から建設が延期され、その後、高速鉄道の開通により、計画は再び延期されています。

事故

2006年8月11日には、浦東国際空港を発車直後の列車内で火災が発生しましたが、幸いけが人はいませんでした。原因は電気的な問題と推定されています。

技術移転

契約の一環として、中国へのトランスラピッド技術の一部移転が合意されました。これにより、ドイツ製の基幹部品と技術を用いた初の中国製車両が、2011年1月から運行を開始しています。

沿革

2000年6月30日：ドイツのトランスラピッドを採用することで上海市と合意。
2001年3月1日：工事開始。
2002年7月20日：上海向けの第1号車両が出荷。
2002年12月31日：開通式。
2003年12月29日：営業運転開始。
2004年7月3日：100万人輸送達成。
2005年7月：400万人輸送達成。
2005年12月1日：運行時間延長。
2006年8月11日：初の火災事故。
2007年10月15日：運行時間延長。
2011年3月5日：運行時間延長、運行間隔の均等化、430km/h運転の時間帯拡大。
2011年5月24日: 3月に改正したダイヤを元に戻した。
* 2020年2月：新型コロナウイルス流行の影響により、全時間帯で300km/h運転。

上海トランスラピッドは、その高速性と技術力で世界を魅了する磁気浮上式鉄道です。将来の延伸計画も含め、今後の発展が期待されています。

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