上田三四二

上田三四二について

上田三四二（うえだ みよじ、1923年7月21日 - 1989年1月8日）は、昭和の時代に活躍した歌人、小説家、文芸評論家、内科医であった。専門分野は結核で、医学博士の資格を持つ。

生い立ちと教育

兵庫県加東郡市場村字樫山（現在の小野市樫山町）で生まれた上田は、柏原中学、第三高等学校を経て、1948年に京都帝国大学医学部を卒業した。結核に関する医学的知識を活かし、国立京都療養所や国立療養所東京病院で内科医として勤務した。

文学活動の始まり

彼の文学キャリアは1949年に始まった。この年、北原白秋系の歌誌「新月」に参加し、創作活動を展開させた。その後、アララギ派に移り、1956年には歌会「青の会」の結成にも加わる。作家としての彼は、二つの大病、すなわち大腸癌と膀胱癌に苦しみながらも、晩年には生命の本質についての著述が主となった。特に西行や良寛といった仏教の死生観を強く反映した作品を通じて、短歌の深い意味を追求した。

短歌の哲学

上田の詩的な考え方は、『短歌一生』での重要な一文に表現されている。彼は「短歌は日本語の底荷だと思っている」とし、短歌が持つ文化的・精神的な価値について強調した。また、「歌は本来憎しみの声ではなく、愛の声である」と述べ、短歌が愛や浄念に通じるものであると唱えた。このような深い思想は、多くの読者に影響を与えてきた。

宮中歌会始選者

上田は、1979年から1985年、1987年から1989年にかけて、宮中の歌会始において選者を務めることとなった。彼の裁定は、その詩人としての豊かな経験と深い知識によって支えられていた。

受賞歴と評価

彼の文学に対する評価は数多くの賞によって示されている。1954年には『異質への情熱』で第1回現代短歌評論賞を受賞し、61年には『斎藤茂吉論』で第4回群像新人文学賞評論部門を受賞。また、66年には「佐渡玄冬」で第6回短歌研究賞を受けるなど、多数の受賞歴を誇っている。最終的には、1987年に日本芸術院賞を受賞し、88年には川端康成文学賞も獲得した。

晩年と死

1989年1月8日、上田は東京都東村山市の病院で大腸癌により逝去した。彼の死は、日本の文学界における大きな損失とされ、その影響は現在も続いている。

主な著作

上田三四二の作品は、彼の文学的哲学や短歌の独自性を反映している。『短歌一生』や『遊行』、さらには『この世この生』など、多くの著作を残し、そのすべてが日本の詩文化に貢献している。また、多くの批評や研究書も執筆し、後の世代の文学者に多大な影響を与えた。

上田三四二の生涯と業績は、彼自身の内面的探求と文学的成果の結実であり、今後も多くの人々にインスピレーションを与え続けることだろう。

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