上田政盛

上田政盛の生涯と業績

上田政盛（うえだ まさもり）は、戦国時代に活躍した武将で、扇谷上杉家の家臣でした。彼の正確な生誕年は不明ですが、相模国守護代である上田正忠（政忠）の後継者と考えられています。出自は武蔵七党の西党に属する上田氏の嫡流とされますが、黒田基樹は「政盛」の実名が軍記物にすぎず、近世初期までの史料には見られないため、信用できないと述べています。

政盛は長享元年（1487年）からの長享の乱で名を馳せ、対立していた山内上杉家の領地である神奈川湊を支配しました。しかし、彼の主家は永正2年（1505年）に山内上杉家に降伏し、政盛はこの時代の混乱により神奈川湊を失いました。このことが彼の後の行動に大きな影響を及ぼしました。

永正7年（1510年）6月、相模国境に近い武蔵国権現山城（現・神奈川県横浜市神奈川区）で挙兵した彼は、当時相模西部を制圧していた伊勢宗瑞の調略を受け入れる形で行動しました。その結果、彼は再び自らの領地を取り戻す試みをしました。しかし、同年7月には扇谷上杉家の上杉朝良と山内上杉家の上杉憲房が権現山城を包囲し、これに対する伊勢（北条）軍の援軍が駆けつけると、政盛は激闘を繰り広げました。

最終的には、権現山城は陥落し、政盛は戦死したと伝えられていますが、同時に一族と共に宗瑞の許に逃れたとの記録もあります。政盛の父である上田正忠は、その後小田原で病死したとされています。このような状況下で、後の小沢原の戦いでは「上田蔵人」と名乗る武将が扇谷上杉家に記録されており、政盛またはその後継者が再度扇谷上杉家に加わる可能性も考えられます。

いずれにしても、政盛の行動によって相模守護代を務めた上田氏の宗家が没落し、その後廃れた庶流の上田朝直らが扇谷上杉家に仕官することとなりました。これによって、長享の乱以来続いていた伊勢氏（後の後北条氏）と上杉氏の同盟関係は終焉を迎え、それ以降の関東における覇権争いが激化することとなりました。

上田政盛の歴史的な背景と彼の執拗な戦いにより、当時の武将たちの思惑や戦国時代の激しい群雄割拠の様子を伺い知ることができます。彼の存在は、扇谷上杉家にとって重要な一員であったことを示しています。

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