上杉朝良

上杉 朝良の生涯

上杉 朝良（うえすぎ ともよし）は、室町時代後期から戦国時代にかけて活躍した武将であり、扇谷上杉家の当主です。彼は上杉朝昌の子として生まれ、伯父である上杉定正に養子として迎えられました。しかし、朝良は文弱な性格であったため、養父からは武芸にもっと力を入れるように度々注意されていたといいます。

家督継承と戦の始まり

明応3年（1494年）、彼の養父である定正が関東管領・山内上杉家の上杉顕定との戦いで戦死すると、朝良は武蔵国の河越城に入って家督を継ぎました。彼は顕定への報復を誓いましたが、養父の生前に信じられた家臣の讒言が原因で、家臣たちが次々と離反し、扇谷上杉家は衰退の一途を辿ります。

この状況を打破するため、朝良は駿河国守護の今川氏親に支援を依頼しました。これに対し、氏親は伊豆国を平定していた重臣の伊勢宗瑞（後の北条早雲）を派遣しましたが、宗瑞はその最中に扇谷家の家臣、大森藤頼の拠る小田原城を奪取します。朝良は今川氏との関係を重視し、小田原城の占拠を黙認せざるを得ない立場に置かれました。中世史研究者の黒田基樹によると、大森藤頼はすでに山内上杉家に寝返っており、朝良の了解の下で宗瑞がこの行動を取ったのではないかとも言われています。

立河原の戦いとその後

永正元年（1504年）、朝良は今川氏親と伊勢宗瑞の助けを受け、武蔵の立河原で顕定に勝利しました。しかし、実力に勝る顕定はすぐに反撃を開始し、河越城は山内上杉軍に包囲される事態となります。朝良は最終的に降伏を決意し、江戸城へ隠居を余儀なくされることになりました。しかし、この処置に対し扇谷上杉家の重臣たちは反発し、顕定も強制執行を断念せざるを得ませんでした。朝良はその後も家督の職務を続けることになります。

一方で、伊勢宗瑞は扇谷上杉家からの軍事協力の名目で相模国へ進出し、扇谷上杉家の領土は次第に侵食されていきました。

上杉憲房との和解と内紛

永正7年（1510年）、顕定が越後国で同国守護代・長尾為景によって討たれた際、伊勢宗瑞が扇谷上杉家の重臣・上田政盛に離反をすすめていることが発覚します。これを受け、朝良と養子の朝興は、山内上杉家を継いだ上杉憲房と和解し、宗瑞との戦いを開始しました。朝良自身も出陣し、政盛の拠る権現山城や宗瑞方の城を攻略し、さらに小田原城まで押し込みます。

永正8年（1511年）には宗瑞との和睦が成立しましたが、以降、山内上杉家と古河公方家での内紛が相次ぎ、朝良はその仲裁に奔走します。しかし、仲裁は失敗に終わり、再び永正9年（1512年）には宗瑞が相模へ進攻してきました。

最後の時期とその影響

永正15年（1518年）には、宗瑞によって扇谷上杉家の最後の拠点であった三浦郡の三浦道寸が攻め滅ぼされ、扇谷上杉家の衰退が決定的になります。朝良はこの年に亡くなったとされています。また、彼は晩年に生まれた実子・藤王丸を非常に愛し、家督を継がせた朝興を廃する考えも持っていたため、朝良の死後、扇谷上杉家内での内紛が激化し、さらなる衰退へと繋がっていきました。

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