上西一郎

上西 一郎

1963年5月9日生まれ、日本の合唱指揮者。奈良県の出身であり、日本の合唱界において特にアマチュア合唱団の育成に多大な功績を残している人物です。

来歴

奈良県立橿原高等学校を経て、大阪音楽大学音楽学部声楽科を卒業しました。音楽の道を志す中で、指揮法を松尾昌美に、合唱指揮法を藤井宏樹に、そして声楽を横田浩和に師事し、それぞれの分野で深い学びを得ました。これらの学びが、後の多様な合唱活動の基盤となります。

合唱指揮者としての活動

上西一郎の活動の中心の一つに、合唱団「クール シェンヌ」があります。この団体は、彼が奈良県立橿原高等学校に在学中に部長を務めていたコーラス部のOB・OGを主なメンバーとして、1983年に結成されました。結成当初から音楽監督を務め、団体の芸術的 directionを一貫して担っています。

クール シェンヌは、1991年から関西合唱コンクールへの出場を開始し、着実に実力をつけていきました。そして、1997年には同コンクールで金賞を獲得し、その実力が認められて全日本合唱コンクールへの出場推薦を勝ち取ります。この全国の舞台進出を皮切りに、クール シェンヌは上西の指揮のもと、目覚ましい成果を上げることになります。2018年までに、全日本合唱コンクールにおいて全国金賞を通算13回という記録を達成しています。これは日本の合唱界における顕著な記録の一つと言えます。さらに、国内外の合唱団が集う宝塚国際室内合唱コンクールにおいても、5回の入賞を果たすなど、その指導力と音楽性は高く評価されています。

クール シェンヌ以外でも、上西は複数の団体で音楽監督を務めています。特筆すべき実績としては、Chor Alyssumを指導し、結成後わずか約半年という短期間で東京都合唱コンクールに初出場し、室内部門で金賞および東京都知事賞を受賞。さらに、同年の全日本合唱コンクールでも金賞に輝くという快挙を成し遂げています。これは、彼が短期間で団体の潜在能力を引き出し、高レベルな音楽を作り上げる手腕を持っていることを示しています。

現在、上西一郎はクール シェンヌに加え、合唱団ル・グラン、アンサンブル・テルミナ、奈良女子大学音楽部、Ensemble Nisi、Nelken Chor、Chor Alyssum、Ensemble Pierisといった多岐にわたる合唱団で音楽監督を務め、それぞれの団体の特色を活かした指導を展開しています。

その他の貢献

指揮活動に加えて、上西一郎は日本の合唱界の発展に広く貢献しています。大学合唱団などへの客演指揮を通じて、若い世代の指導にあたっています。また、各種合唱コンクールの審査員としても招聘され、公正かつ的確な視点から次世代の合唱団の育成に携わっています。さらに、合唱講習会や個人レッスンの講師を務めることで、多くの合唱愛好家や指導者に対して、その豊富な経験と知識を伝え、日本の合唱レベルの向上に寄与しています。

日本合唱指揮者協会関西支部理事、奈良県合唱連盟理事、合唱人集団「音楽樹」会員といった役職や所属も、彼の合唱界における活動の幅広さと影響力を示しています。上西一郎は、長年にわたり、情熱と指導力をもって数多くの合唱団を成功に導き、日本の合唱文化の振興に不可欠な存在となっています。

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