藤井宏樹

藤井宏樹

藤井宏樹（ふじい ひろき、1961年6月5日 - ）は、日本の合唱指揮者であり、山梨県出身です。日本合唱指揮者協会会員であり、21世紀の合唱を考える会 合唱人集団「音楽樹」の代表幹事を務めています。

人物

山梨県立巨摩高等学校を経て東京藝術大学音楽学部声楽科を卒業。声楽を畑中良輔、中村義春、近藤礼子に、ピアノを近藤幹雄、田辺緑に、指揮法を黒岩英臣に師事しました。大学卒業後、合唱指揮者としての活動を開始し、現在では「樹の会」という12の団体を統括し、Ensemble PVDの音楽監督も務めています。山梨大学合唱団、合唱団ゆうか、女声アンサンブルJuriを率いて、全日本合唱コンクールで通算12回の金賞を受賞しており、スペインの「トロサ国際合唱コンクール」やイタリアの「レッツォ国際合唱コンクール」でも高い評価を受けています。

近年では、合唱指揮者としての活動だけでなく、トロサ国際合唱コンクールや全日本合唱コンクールなどの審査員、各地での合唱講習会の講師、現代作曲家への委嘱活動、21世紀の合唱を考える会 合唱人集団「音楽樹」が主催するTokyo Cantatなど、様々なコンサートの企画にも積極的に携わっています。

エピソード

藤井が合唱指揮者の道を志すきっかけとなったのは、師である畑中良輔の一言でした。もともとオペラ歌手を目指して東京藝術大学に進学しましたが、大学3年の時に風邪が原因で重度の音声障害を患い、歌うことが困難な状態になりました。その後、炎症は治まったものの声は元に戻らず、歌手の道を諦めざるを得ませんでした。その際に畑中が藤井に「合唱の指揮をやってみたらどうか。合唱の世界にも素晴らしい音楽家がたくさんいる」とアドバイスし、高校時代の恩師や後輩の推薦により、山梨大学合唱団の指導を始めることになりました。当時「まるで声ができていない」と言われた山梨大学合唱団を、3年で全日本合唱コンクール関東大会に、8年で全国大会へと導きました。

音楽

藤井が合唱界で注目されるようになったのは、合唱指揮者である松原千振との出会いがきっかけでした。松原からヨーロッパの合唱作品を紹介された藤井は、それらを演奏することで、ヨーロッパの長い歴史と音楽のメソッドに触れることになります。藤井は「日本の合唱界では男声が育っていない。バスであってもソプラノのような響きを持たせる必要がある」と考え、「男声の音感や発声方法を変えることで、日本の合唱は変わる」という信念を持っていました。山梨大学合唱団では男声の鍛錬に力を入れ、その結果、「ヨーロッパの合唱団を思わせる柔らかい響き」や「特別なサウンドを持っている」と評されるようになり、日本の合唱界に新たな風を吹き込みました。

脚注

参考文献:
「クローズアップ　山梨大学合唱団」- 社団法人全日本合唱連盟機関誌「ハーモニー」No.98、1996年10月10日発行。
「合唱界のニューリーダー　藤井宏樹」- 社団法人全日本合唱連盟機関誌「ハーモニー」No.99、1997年1月10日発行。

外部リンク:
樹の会
合唱団ゆうか
樹の会ユースクワイア～奏～
Sonus Anima
Nekko male choir
はるか
山梨大学合唱団
21世紀の合唱を考える会 合唱人集団「音楽樹」

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