上越市民の歌

上越市民の歌とは

「上越市民の歌」（じょうえつしみんのうた）は、新潟県上越市において制定された市民歌です。この歌は、作詞を小林隆治が手掛け、補作に森菊蔵、作曲に狛林正一が関与した作品として1977年に誕生しました。

上越市の設立背景

上越市は1971年に直江津市と高田市が合併して設立された市であり、それ以前にはそれぞれに異なる市歌が存在していました。直江津市では明治時代から「直江津町歌」が用いられ、高田市でも1929年に制定された「高田市歌」や1961年の「高田市市民歌」がありました。これらは地域の歴史や文化を反映した歌であり、住民に親しまれていました。

新市民歌の誕生

合併後、上越市としてのアイデンティティを持つために、1976年に新しい市民歌の制定が決定されました。このプロジェクトは、詩人の森菊蔵が主導し、全国で自治体歌や新民謡の制作が行われていた企画から始まりました。歌詞の公募が行われ、入選作品は該当なしとなりましたが、準入選された小林隆治の作品を元に森が補作し、狛林正一の作曲を得て完成しました。他の市民歌とは異なり、歴史的人物を題材にした部分があり、上杉謙信やテオドール・レルヒが歌詞に描かれています。

歌詞の内容と特徴

歌詞は全5番から成り、それぞれが地域の名所や歴史的な景観に触れています。1番では高田城、2番では直江津港が歌われ、3番では春日山、4番では五智の国府跡と直江津海水浴場が取り上げられ、5番では金谷山と妙高山の美しい情景が描写されています。このように、歌は地域の自然や歴史を身近に感じさせるものとして、多くの市民に愛されました。

市民歌の普及と廃止

上越市民の歌は、毎年夏に行われる上越まつりなどのイベントでも演奏され、市民に親しまれてきました。しかし、上越市は平成の大合併により近隣の町村を編入し、市域が大幅に拡大しました。それに伴い、合併協議会は内容の見直しを決定し、2006年には新しい市民歌「このふるさとを」が制定されました。これにより、上越市民の歌は公的な市民歌としては廃止されました。

この新曲は、具体的な地名を持たない抽象的な歌詞が特徴であり、制定から数年後の2011年には「市民の間で歌われているのを聞いたことがない」との声も上がりました。

現在の状況

公的に廃止されたとはいえ、「上越市民の歌」は市民による演奏が禁止されるわけではなく、上越まつりでの「サンバ上越市民歌」の演奏は今も続いています。また、市議会では、さらに市域が広がる中で歌詞に新たな内容を追加し、復活させる提案もされていますが、具体的な動きは見られない状態です。市民歌の存在は地域文化や共同体の絆を強める重要な要素となっており、今後どのように変化していくのかが注目されます。

このように「上越市民の歌」は、地域の歴史や文化を豊かに表現した一曲として、多くのために歌い継がれています。

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