上都路

上都路（じょうとろ）について

上都路は、中国の歴史において重要な役割を果たした地域であり、かつてモンゴル帝国及び大元ウルスの時代に設置されました。この路は、現代の内モンゴル自治区シリンゴル盟南部および河北省承徳市一帯にあたります。この地名は、かつての大元ウルスの夏の営地があった「上都開平府」に由来しています。

歴史的背景

上都路の歴史は、金代にまで遡ります。この地域の前身は桓州であり、元々キタイ（契丹）人が居住していました。チンギス・カンが金朝に侵攻を行うと、桓州は最初に投降し、モンゴルの配下となりました。モンゴル高原の南限にあたる桓州は、華北侵攻の重要な拠点として選ばれ、華北方面軍の司令官に任じられたムカリがここに駐屯しました。その後、桓州一帯はムカリ率いる軍団による遊牧地となり、特にジャライル部のムカリ家やウルウト部のジュルチェデイ家がここを拠点に活動しました。

ムカリの孫、スグンチャクは上都の西に位置するアルチャトに本営を移し、その後の政権の形成に寄与しました。モンケ皇帝の治世においては、クビライが東アジア方面の司令官に就任し、灤河上流のドロン・ノールに本拠地を設けました。モンケの死後、クビライは1260年に即位し、自身の本営を開平府へと改名しました。この際、1264年には「上都」と名づけられました。

大元ウルスの首都圏としての上都路

大元ウルスの朝廷では、遊牧の生活様式を反映した季節的な移動が行われ、大カーンは夏の間は上都で、冬は大都で生活していました。この二つの都市をつなぐ地域は、大元ウルスの巨大な「首都圏」として位置づけられました。

明朝の成立と上都路の陥落

その後、明朝の朱元璋が王朝を成立させると、常遇春率いる遠征軍によって上都路が陥落し、開平衛が新たに設置されました。これにより、上都路はその役割を失い、歴史の中で重要な場所となりました。

上都路の行政区画

上都路は、行政的に11の県、6つの州、1府が設置されていたことが特徴です。以下は、その詳細です。

• - 県

- 開平県

• - 府

- 宣徳府（宣徳県、宣平県、順聖県、保安州、蔚州を管轄）

• - 州

- 標興州（興安県、宜興県を管轄）
- 松州
- 桓州
- 雲州（望雲県を管轄）

上都路は、その地理的重要性と歴史的背景からも、モンゴル帝国の拡大と統治において無視できない存在でした。

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