上野晴朗

上野晴朗の生涯と業績

上野晴朗（うえの はるお、1923年 - 2011年）は、日本における郷土史家として広く知られ、その著作や研究により山梨の歴史や文化の保存に多大な貢献をしました。彼は山梨県の東山梨郡日下部村七日市場（現在の山梨市）に生まれ、地域への深い愛情を抱きながら、郷土に関する多くの資料を収集し、編纂作業に携わりました。

上野は、山梨県立図書館の司書としてのキャリアをスタートし、その後、富士博物館で学芸員として勤めました。彼の専門分野は歴史学、考古学、民俗学、文学であり、さまざまな分野の知識を融合させた研究を行いました。特に、彼は甲陽軍鑑に関する研究を行い、武田勝頼や山本勘助に関する信頼性の高い資料を発掘しました。特に、山本勘助の実在性を強く主張し、伝承を重んじる姿勢が印象的です。

研究活動と執筆

上野は1962年から自治体史の編纂に関わり、「勝沼町誌」を皮切りに数多くの地方史に貢献しました。彼の研究方法は、現地の実地調査を重視し、持論を深めるための基盤を築きました。また、山梨郷土研究会に参加し、「甲州夏草道中」などの調査に携わり、地域文化の保存活動も進めました。

1988年には大河ドラマ『武田信玄』の時代考証を担当し、テレビを通じても彼の研究が多くの人々に知られることになりました。学問的な交流も活発で、特に多くの文人や研究者との関係を築きながら、知識を深める努力を続けました。

資料収集と評価

上野は1935年から1944年にかけての長い年数にわたり、さまざまな歴史と民俗資料を収集し続けました。2005年には山梨県立博物館が彼の資料を一括購入し、彼の業績は今もなお地域文化の貴重な資源として扱われています。彼の集めた資料は、考古学のもの438点、歴史関連が2568点、民俗が195点を数えます。

この中には、甲陽軍鑑に関連する文書や、地域文化を知るための民具まで含まれており、彼の研究の広がりが伺えます。特に民俗資料の中には、郷土玩具である「かなかんぶつ」（おかぶと）など、地域の伝統を伝える貴重な品々もあり、それらは地方の文化を未来に引き継ぐ役割を果たしています。

著作と影響

上野の著作は、主に山梨に関連したものが多く、特に『甲州風土記』や『やまなしの民俗』などが知られています。彼の著作は、郷土の歴史や民俗を学ぶ人々にとっての重要な教科書となり、後世の研究者にも影響を与えました。加えて、製作した書籍は幅広く、多くの分野にわたるため、彼の知見の広さが伺えます。

晩年は神奈川県茅ヶ崎市に移住し、そこで彼の研究は続きましたが、2011年12月2日に前立腺癌のために88歳で他界しました。彼の業績は、山梨の文化的遺産を守り、未来を見据えた視点を提供するものであり、その影響は現在も多くの研究者や地域の人々に受け継がれています。

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