上野豊

上野豊（うえの ゆたか）は、1915年11月9日に神奈川県横浜市で生まれ、2016年3月6日に100歳で生涯を閉じた日本の実業家です。海運・石油輸送業界で大きな足跡を残し、上野トランステックを国内有数の企業に育て上げました。また、横浜エフエム放送の会長も務め、地元経済界の発展にも尽力しました。

生い立ちと初期のキャリア

上野豊は、1937年に旧制横浜高等商業学校（現在の横浜国立大学）を卒業後、合名会社上野運輸商会に入社しました。大学時代は渡辺輝一ゼミに所属し、経済学を学んでいます。第二次世界大戦終戦時には陸軍大尉として広島に赴任しており、被爆しましたが、奇跡的に一命を取り留めました。この経験は、彼の人生観に大きな影響を与えたと推測されます。

上野運輸商会（後の上野トランステック）での活躍

1966年、上野運輸商会の社長に就任。その後、株式会社上野運輸商会に組織変更し、社長として経営手腕を発揮しました。特に石油輸送事業においては、上野グループを国内大手に成長させ、石油メジャーであるロイヤル・ダッチ・シェルとの深い関係を築きました。シェル本国の幹部と直接対話できる数少ない人物の一人として、その手腕は高く評価されていました。1987年には上野トランステックの代表取締役会長に就任し、さらに1998年には会長職に専念。2008年には名誉会長となり、長きにわたりグループを牽引しました。

地域社会への貢献

上野豊は、経済界のみならず、地域社会の発展にも大きく貢献しました。1979年から1994年まで横浜商工会議所の会頭を務め、横浜経済の発展に尽力。また、神奈川県公安委員会委員も1976年から1991年までの5期にわたり務めています。横浜市美術振興財団の理事長も務め、文化振興にも寄与しました。横浜ベイブリッジの建設促進、新幹線ひかりの新横浜駅停車、横浜能楽堂建設など、数々のプロジェクトで中心的な役割を果たしました。

受賞と栄誉

上野豊の功績は、数々の賞や勲章によって称えられました。1974年に紺綬褒章、1979年には藍綬褒章と大英帝国勲章（O.B.E）を受章。1986年には勲二等旭日重光章を受章しています。1994年には横浜文化賞、1995年には神奈川文化賞を受賞。没後の2016年には正四位に叙せられました。

晩年と逝去

上野豊は、100歳という長寿を全うし、2016年3月6日に静かに息を引き取りました。その生涯は、実業家としての成功だけでなく、地域社会への貢献、文化振興への尽力など、多岐にわたるものでした。上野豊の業績は、現在も多くの人々に影響を与え続けています。

上野豊の長男である上野孝は、現在上野トランステックの社長を務め、父の築き上げた事業を継承し、さらなる発展を目指しています。

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