上野間の裸まいり

上野間の裸まいり：無病息災を祈る厳冬の神事

愛知県知多郡美浜町の上野間地区で、毎年大晦日の深夜から元旦の未明にかけて行われる「上野間の裸まいり」は、地域の人々に「裸まいり」として親しまれている伝統的な祭りです。この祭りは、若者たちが心身を清め、無病息災を願う神聖な行事として、地域社会で重要な役割を果たしてきました。

祭りの流れ

祭りの参加者は、上野間地区の16歳から22歳までの若者たち（男性のみ）です。大晦日の夜、彼らは数人ずつのグループに分かれ、数え年で42歳になる厄年の男性の家（「宿」と呼ばれます）を訪れます。宿では、若者たちの世話役である「お取り持ち」（経験豊かな年長の男性たち）と共に、温かい雑煮を味わい、もてなしを受け、入浴を済ませて仮眠を取ります。

午前0時を過ぎると、越中褌を身に着けた若者たちは、それぞれの宿から上野間漁港の海岸まで一斉に駆け出します。そして、越中褌を脱ぎ捨て、新田海岸の冷たい海水で身を清めます。この禊ぎを終えた後、お取り持ちが用意した晒の締め込みを着用し、再び宿へと戻ります。

宿に戻った若者たちは、腰に荒縄を巻き、鈴を結び付け、鉢巻を締め、わらじを履いて、地区内にある七つの寺社（秋葉神社、大仙寺、多賀神社、二月堂、野間神社、松雄神社、唯心寺）へと参拝に向かいます。特に野間神社では、かがり火を囲み、伊勢音頭を歌い、酒を酌み交わし、記念撮影を行うなど、賑やかな交流が繰り広げられます。祭りは概ね夜明け前に終了します。

祭りの変遷

2008年以前は、参加する若者たちは全裸で祭りを行っていました。しかし、参加者の全裸を撮影するなどの行為が問題視されるようになり、現在は越中褌を着用する形式に変更されました。時代の変化とともに、祭りの形も変化を余儀なくされたのです。

近年、若者として祭りに参加する人数が減少傾向にあります。伝統文化を継承していくためには、地域社会全体でこの問題に取り組み、若い世代が積極的に参加できるような魅力的な祭りにしていく必要があるでしょう。

上野間の裸まいりは、単なる祭りというだけでなく、地域の絆を深め、若者たちの成長を促す大切な行事です。この伝統を未来へと繋げていくために、地域住民の熱意と協力が不可欠です。

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