下五反田遺跡

下五反田遺跡の概要

下五反田遺跡は、滋賀県高島市安曇川町田中に位置する重要な複合遺跡です。この遺跡からは、縄文時代から鎌倉時代にかけての多様な遺物が確認されており、地域の歴史を探る上で欠かせない場所となっています。遺跡の発掘は1994年から本格的に始まり、以降の調査でさまざまな時代の遺物が出土しました。

縄文時代

遺跡からは、縄文時代晩期の遺物がわずかに見つかっています。具体的な集落の形成や生活様式に関する情報は少ないものの、早期から人々がこの地に住んでいたことを示しています。

弥生時代と古墳時代

集落の本格的な形成が確認されるのは、弥生時代後期から古墳時代初頭にかけてです。この時期には、初期須恵器や韓式系の土器、そしてカマドが発見され、渡来系集団との関係が見えてきます。古墳時代中期には、この地域において初期須恵器や陶質土器、軟質土器が発掘され、渡来系の影響を受けた集落の存在が考えられています。

古墳時代後期には、流路から集落の存在が示唆され、数多くの遺物が出土。これにより、5世紀頃の重要な拠点であったことが理解されます。

飛鳥時代から平安時代

7世紀前半には竪穴建物が確認され、その後の7世紀後半から8世紀前半にかけては、建物の向きが変わります。この時期には、法隆寺式瓦を持つ寺院の存在が想定され、建物様式の変化が明らかです。8世紀後半から9世紀にかけては、集落が掘立柱建物のみで構成されるようになります。11世紀から12世紀には、条里制に影響を受けた集落構成が見られるようになり、大型の総柱建物が主流となりました。

鎌倉時代以降

13世紀以降、集落は水田化が進み、現在の風景に至ることが確認されます。時代の移り変わりとともにこの地域の生活様式が変化した様子が反映されています。

発掘調査の経緯

下五反田遺跡は1994年度からの発掘調査を経て、7世紀後半の法隆寺式瓦や古墳時代の竪穴建物群が見つかりました。これにより、渡来系の集落の跡が明らかになり、この地域の歴史に新たな光を当てることになります。調査は、更に2000年度から2001年度にかけて行われ、2010年代初頭に整理作業が完了しました。

考古学的意義

この遺跡は、滋賀県内において古墳時代中期にカマドを竪穴建物内に設置した重要な例とされています。また、同時期に八反田遺跡や東窪田遺跡からも竪穴建物が見つかっており、広範囲にわたる集落の分布が想定されています。下五反田遺跡の位置は、他の著名な古墳や歴史的な地点とも近く、地域の歴史的背景を理解する上で不可欠です。

このように、下五反田遺跡は多様な時代の情報を提供し、古代の人々の生活や文化を知るための貴重な資源です。今後の研究によって、さらに詳細な情報が明らかにされることが期待されています。

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