下村康正

下村康正

下村康正（しもむら やすまさ、1925年2月10日 - 2009年8月18日）は、日本の著名な法学者であり、特に刑法学において多大な功績を残しました。東京都に生まれ、中央大学で法学を修め、法学博士の学位を取得。中央大学の名誉教授として、後進の育成にも尽力しました。

経歴

下村康正は旧制巣鴨中学校を卒業後、1947年に中央大学法学部を卒業。草野豹一郎教授に師事しました。1948年に中央大学法学部の助手となり、その後、助教授、教授へと昇進。1963年には中央大学通信教育部長に就任し、教育体制の整備に貢献しました。1979年には中央大学大学院法学研究科長および中央大学評議員に就任し、大学運営にも深く関わりました。1981年から1982年までフランスのエクスマルセイユ第3大学で客員教授を務め、国際的な学術交流にも尽力しました。1995年に中央大学を定年退職し、名誉教授となりました。その後、弁護士登録を行い、第一東京弁護士会に所属しました。2002年には、長年の教育研究活動が評価され、勲三等瑞宝章を受章しました。

下村康正は、研究者としての活動に加えて、旧司法試験第二次試験考査委員や法務省法制審議会刑事法特別部会幹事、第一東京弁護士会懲戒委員など、様々な公職も務め、法曹界の発展に大きく貢献しました。1962年には中央大学から法学博士の学位を授与されており、その際の論文題目は「犯罪理論の研究」でした。

研究領域

下村康正の研究領域は、刑法各論を中心としていました。具体的な犯罪類型に関する詳細な分析や、刑法理論の構築に力を注ぎ、数多くの著書や論文を発表しました。その研究は、日本の刑法学の発展に大きな影響を与えました。

主要著書

『刑法演習』（有信堂、1957年初版・1970年改訂版）
『犯罪論の基本的思想』（成文堂、正巻1960年/続巻1965年）
『刑法各論 法律学30講』（文久書林、1961年）
八木國之と共編『刑法各論-重要問題と解説-』(法学書院、1978年)
『共謀共同正犯と共犯理論』（学陽書房、1975年初版・1983年増補版）
『刑法各論の諸問題』（文久書林、1978年）
『刑法各論』（北樹出版、1981年）

これらの著書は、刑法を学ぶ学生や実務家にとって重要な参考書として広く読まれています。特に『刑法各論』は、判例や学説を網羅的に解説しており、刑法各論の理解を深める上で不可欠な文献と評価されています。

参考文献

西原春夫、渥美東洋編『刑事法学の新動向 : 下村康正先生古稀祝賀 下巻』（成文堂、1995年）

下村康正は、日本の刑法学界において、多大な功績を残した人物として、その名が永く記憶されることでしょう。

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