下渡橋 (木曽川)

下渡橋（しもわたりばし）は、岐阜県可児市、具体的にはかつて可児郡兼山町であった地域と、同じく岐阜県の加茂郡八百津町とを隔てる雄大な木曽川に架設された、地域にとって非常に重要な連絡橋です。この橋は、岐阜県道351号御嵩川辺線の一部を構成しており、両市町の交通動脈としての役割を担っています。現在、木曽川を跨ぐこの地点に架かっているのは、歴史の中で2代目にあたる橋梁です。

現在の2代目となる下渡橋は、1976年（昭和51年）に開通し、その供用が開始されました。橋の構造形式としては、アーチ部材と桁を組み合わせたランガー橋というタイプが採用されており、堅牢な設計がなされています。橋全体の長さは120メートルに及び、幅員は合計で8メートルが確保されています。この8メートルの幅員の内訳は、車両が通行する車道部分が6メートル、そして歩行者や自転車が安全に通れるように設けられた歩道部分が2メートルとなっています。この橋が直接的に結んでいるのは、可児市兼山地区と加茂郡八百津町和知地区です。

下渡橋の歴史を紐解くと、初代の橋は今から約一世紀前の1925年（大正14年）9月に開通したことに始まります。初代の下渡橋は、全長が69メートル、幅員はわずか2メートルという規模で、最大の特徴は、その構造が全て木材でできた吊り橋であった点です。さらに興味深いのは、この初代橋を建設する際に用いられた資材の由来です。実は、初代橋の建設直前の1923年（大正12年）に、兼山橋の3代目が完成したことにより使用されなくなった、2代目の兼山橋の木材が転用されたのです。

しかし、このように既存の橋の資材を再利用して建設された初代の下渡橋は、構造的な問題から耐久性に難がありました。そのため、安全上の理由から通行が厳しく制限されており、人や二輪車（自転車やオートバイなど）のみが利用でき、自動車のような比較的重い車両の通行は許可されていませんでした。時代の経過とともに交通量が増加し、より幅広い種類の車両が安全かつ円滑に通行できるような、より強固で広い橋の必要性が地域社会で強く認識されるようになります。

こうした交通ニーズの高まりと初代橋の限界を受け、満を持して現在の2代目となる下渡橋が建設される運びとなりました。そして、1976年に完成・開通した2代目の橋は、初代の課題を見事に克服しました。現代の交通状況に対応できる十分な強度と幅員を備えた新しい下渡橋の誕生により、可児市と八百津町間の往来が格段に便利になり、人々の移動や地域経済の活性化に大きく貢献しています。下渡橋は、かつての木造吊り橋から現代的なランガー橋へとその姿を変え、木曽川を渡る重要な交通路として、今もなお地域の暮らしを支え続けているのです。

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