不動産鑑定業者

不動産鑑定業者とは

不動産鑑定業者とは、土地や建物といった不動産の経済的な価値を判定し、その結果を報告書としてまとめる専門的な業務（不動産鑑定業）を営む事業者です。

この事業を行うには、「不動産の鑑定評価に関する法律」に基づき、国土交通大臣または都道府県知事のいずれかから正式な登録を受ける必要があります。この登録は、不動産鑑定業者がその業務を適法かつ公正に行うために不可欠な要件です。

法的な根拠と登録制度

不動産鑑定業者の定義は、不動産の鑑定評価に関する法律の第2条で明確に定められており、「第24条の規定による登録を受けた者」とされています。これにより、登録制度が不動産鑑定業者の根幹であることが示されています。

また、同法第22条では、不動産鑑定業を始めようとする者が登録を受けるための手続きが規定されています。具体的には、複数の都道府県に事務所を設置して事業を展開する場合は国土交通大臣への登録が必要です。一方、一つの都道府県内にのみ事務所を設置する場合は、その事務所がある都道府県の知事への登録となります。

この登録制度は、不動産鑑定業の質を担保し、利用者が信頼できるサービスを受けられるようにするための重要な仕組みと言えます。登録を受けた業者は、法律や関連するルールに従い、客観的かつ適正な鑑定評価を行うことが求められます。

不動産鑑定業者の数

国土交通省が公開しているデータ（2020年1月1日時点）によると、日本全国には合計3,224の不動産鑑定業者が登録されています。このうち、国土交通大臣の登録を受けているのは75業者、都道府県知事の登録を受けているのは3,149業者です。

地域別の登録状況を見ると、不動産取引が特に活発な大都市圏に多くの業者が集中していることがわかります。都道府県別で最も登録業者数が多いのは東京都で、大臣登録45業者、知事登録750業者を合わせた795業者が活動しています。これに次ぐのが大阪府で、大臣登録11業者、知事登録258業者の合計269業者が登録されています。これらの数字は、不動産鑑定業の需要が都市部の経済活動と深く関連していることを示唆しています。

主な不動産鑑定業者

日本国内には、様々な規模や専門分野を持つ多数の不動産鑑定業者が存在します。売上高や事業規模などから代表的な業者として知られている企業には、日本不動産研究所、大和不動産鑑定、谷澤総合鑑定所などがあります。

また、大手金融機関のグループ企業が不動産鑑定業を手掛けているケースも多く見られます。例えば、三菱UFJ銀行グループのエム・ユー不動産調査、三井住友銀行グループのSMBC不動産調査サービス、みずほ銀行グループのみずほ不動産調査サービスなどが挙げられます。これらの企業は、親会社の金融取引に関連する不動産評価などを主要な業務の一つとしています。

その他にも、シービーアールイー、三友システムアプレイザル、JLL森井鑑定、エル・シー・アール国土利用研究所、コスモシステム、東京カンテイ、タス、日本ヴァリュアーズ、中央不動産鑑定所、立地評価研究所、日本ホテルアプレイザル、不動産価格保証株式会社など、幅広い分野で専門的な鑑定評価を提供する企業が多数存在します。

さらに、主要な信託銀行（みずほ信託銀行、三井住友信託銀行、三菱UFJ信託銀行）やりそな銀行なども、不動産に関する専門部署を持ち、鑑定評価を含む関連業務を取り扱っています。

これらの業者は、個人や企業の不動産取引、相続、資産評価、裁判、公共事業など、多様な目的のために不動産の適正な価格を判断し、社会経済の円滑な運営を支えています。

関連情報

不動産鑑定業者の業務は、国家資格である不動産鑑定士によって行われます。不動産鑑定士は、高度な専門知識と豊富な実務経験を持つプロフェッショナルです。彼らは、日本不動産鑑定士協会連合会などの団体を通じて、資質の維持向上や倫理観の遵守に努めています。

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