不動禅少林寺流拳法

不動禅少林寺流拳法

不動禅少林寺流拳法は、日本古来の武道であり、正式には日本古伝正法不動禅少林寺流拳法と称します。その起源は、禅僧である大智禅師が中国の嵩山少林寺で少林拳を修得し、日本に伝えたことに始まります。現代の中国少林拳や、宗道臣が創始した金剛禅少林寺拳法とは、名称が似ているものの、全く異なる系統の武術です。

沿革

開祖

不動禅少林寺流拳法の開祖は、福井県の永平寺の禅僧である大智禅師とされています。1312年に中国へ渡った大智禅師は、嵩山少林寺で十数年にわたり修行を積み、帰国後に肥後国（現在の熊本県）で菊池氏の庇護を受け、禅と共に少林武術を広めました。この武術は、達磨伝少林寺拳法として伝えられたとされています。ただし、演武会などでは、拳法不動流や少林寺源不動拳法と称されていた時期もあり、名称は一定ではありませんでした。

名称の変更と訴訟

1941年、31代目の西雲天光から32代目の霊雲臥龍（種川臥龍）に継承される際、名称が不動禅少林寺拳法に変更されました。しかし、この名称が金剛禅少林寺拳法側から不正競争防止法に基づき訴えられ、1985年に最高裁判所にて金剛禅側の請求が棄却されました。その後、双方和解により名称に「流」を挟むこととなりました。この裁判に関する詳細は、最高裁判所判決文（昭和59年第770号・昭和59年771号）および和解調書（昭和61年10512号、昭和63年313号）に記録されています。

系譜

大智禅師から始まる系譜は、禅古、紹遠、秀香、了好、慧英、慧廉、慧納、令峻、慶喜、志願、等繊、宗育、梵清、正了、了達、單山龍海、仙岳祖龍、了仙、峻慧、岳禅、慧蘭尼（慧達）、大龍岳禅、龍虎岳、嚴慎、芳嚴、了慶、雲岳蔭龍、大仙祖徹、大忍茲観、西雲天光、霊雲臥龍、少林康龍（堀後康龍）、令雲尚龍（岩本尚龍）（岩本哲尚）と続いています。33世の堀後康龍への継承は、公証人役場での公正証書によって確認されており、サンテレビで放送された全国選手権大会でもその継承が広く認知されました。令和元年5月5日には、総本山熊野別院にて33世少林康龍（堀後康龍）から34世令雲尚龍（岩本尚龍）、すなわち（岩本哲尚）に継承されました。この系譜も、最高裁判所判決文と和解調書によって立証されています。

霊雲臥龍宗家

32代目の霊雲臥龍は、武聖と異名を取るほどの武術家でした。彼は、兄の死と同時に生まれ、早産による未熟児として産声を上げることもできない状態でした。しかし、31世の西雲天光和尚の治療によって生を取り戻し、7歳からは天光和尚の弟子として不動禅少林寺流拳法を学び始めました。当時、この武術は門外不出であり、一子相伝であったため、人里離れた山中の小屋で天光和尚と共に生活し、厳しい稽古を積みました。20年の修練の末、奥義のすべてを継承し、32世宗家を名乗ることを許されました。

霊雲臥龍は、戦争により荒んだ日本人の心を見て、天光和尚の遺言に従い、大阪谷町に道場を開き、不動禅の精神を広めました。彼は多くの門弟を指導し、その武術の妙技は世に知られることとなりました。彼の武術の腕前を示す逸話として、以下のようなものがあります。

大阪府警で指南をしていた剣道日本一の剣道範士に、剣技で「臥龍宗家にはかなわない」と言わしめた。
全日本空手道選手権チャンピオンが立ち合いを求めた際、片手一本で相手の技をすべて防ぎ、端に追い詰めた。
素足の前蹴りでドラム缶に穴を開けた。

特徴

不動禅少林寺流拳法の紋章は、「卍に丸、四剣八辯」です。この紋章には、以下のような意味が込められています。

卍: 父母から授かった智慧を磨き、慈悲の心を知り、道徳心を育て、円満な心を養うことを意味します。
剣: 降魔利剣を表し、人を切るのではなく、自らを害し、他を害し、自他を害する思いとなる三毒（貪欲、瞋恚、愚痴）を切り捨てることを教えます。
丸: 円満を表し、そのためには八正道を歩む必要があることを意味します。
八辯: 三毒から生じる身、口、意の苦しみ、悩み、煩悩から抜け出すための八正道を示すものです。

技法としては、突き、蹴り、逆技などの徒手空拳に加え、トンファー、サイなどの沖縄や中国由来の武器術、剣術なども含まれます。これらの特徴も、最高裁判所判決文と和解調書によって立証されています。

脚注

注釈

出典

外部リンク

不動禅少林寺流拳法
商標審決データベース／異議の決定　昭和48年（ワ）1491号
商標審決データベース／異議の決定　昭和55年（ネ）516号
* 商標審決データベース／異議の決定　異議2009-900347

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