少林寺拳法

少林寺拳法について

少林寺拳法（しょうりんじけんぽう）は1947年に日本で生まれた新しい武道です。創始者である宗道臣（本名：中野理男）は、嵩山少林寺の北少林義和門拳の21代正統継承者でもあり、少林拳を元にした技術体系が特徴です。少林寺拳法は中国の少林寺に伝わる少林拳とは異なるもので、独自の理念と修行法を持っています。

創始の背景

幼少期、宗道臣は武道家の祖父から指導を受け、17歳で再び満州へ渡ります。特殊工作員としての活動を経て、北少林白蓮拳の師匠から武術を学び、1936年に少林寺を訪れる経験をしました。1946年、満州から帰還した宗道臣は、荒廃した日本社会の中で若者を育成したいという思いから少林寺拳法を創始しました。彼は武道団体を作るだけでなく、敗戦後の日本に必要な人作りを目指していました。

宗教法人と団体

少林寺拳法は、宗教法人金剛禅総本山少林寺、一般財団法人少林寺拳法連盟、少林寺拳法世界連合といった団体で構成されています。その中で、宗教的な側面と武道的な側面が融合した教育活動を展開しています。

教えと修行法

少林寺拳法の理念は、「拳禅一如」の思想に基づいており、肉体と精神の充実を追求します。そのため、精神修養や護身術、健康増進を目的とした修行が行われています。実際の技術は、圧法や関節技、投げ技といった多彩な方法で構成されており、これらは「静」と「動」を同時に行う禅の武道として親しまれています。また、少林寺拳法における「ダーマ」という概念は宇宙の真理を指し、拳士はこの真理に従った行動を求められます。

技術と演武

少林寺拳法は、剛法と柔法の二つの側面を持つ技術体系が特徴です。剛法は打撃や防御技術、柔法は投げや関節技を包含しています。また、演武には二人組で行う「組演武」と、一人でも行える「単独演武」があります。これにより、少林寺拳法は実践的な技術だけでなく、精神性を涵養するものとして意義を持っています。

現在の状況と国際的展開

創始から70年以上が経った現在、少林寺拳法は日本国内で広まり、さらに海外へも普及しています。世界に約40カ国が少林寺拳法を実践しており、四年ごとに国際大会が開催されています。ただし、過去のピークに比べ参加者数は減少しているものの、女性の護身術として注目を集め、新たな参加者を引き寄せています。

組織の構造

少林寺拳法は、宗教法人と一般財団法人に支えられた多層的な組織体系を持っています。本部の所在地は香川県の多度津町で、道院や支部を通じて地域への根ざし活動を展開しています。段位制度も整備されており、武道的な技能と精神的な成長が同時に問われる流れとなっています。

少林寺拳法は単なる武道を超え、教育的価値を大切にした新たな社会教育の形を模索し続けています。

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