嵩山少林寺

嵩山少林寺：禅と武術の聖地

嵩山少林寺（すうざん しょうりんじ、拼音: Sōng Shān Shàolín sì）は、中国河南省鄭州市登封市に位置し、中岳嵩山の少室山の北麓に佇む寺院です。この寺は、インドから中国に渡来した達磨によって禅が伝えられた地とされ、中国における禅宗の重要な名刹として知られています。また、少林武術の中心地としても世界的に有名です。

歴史

少林寺の前身は、北周時代に洛陽城内に宣帝が創建した陟岵寺（ちょっこじ、zhìhù sì）です。その後、隋の文帝の勅命により、寺名を少林寺と改称しました。

『魏書』巻114「釈老志」によれば、少林寺は496年（太和20年）に、孝文帝が西域出身の僧侶である仏陀禅師（仏陀跋陀羅）のために、少室山の北側に建立したとされています。禅宗においては、唐代の『伝法宝紀』において初めて、菩提達磨がこの寺で9年間面壁し、慧可が師の前で腕を切り落としたという伝承が生まれました。

唐朝の創業期には、少林寺は李世民（後の太宗）率いる唐軍に僧兵を派遣し、王世充の鄭国政権の征討に貢献しました。寺内には、その功績を称える「皇唐嵩岳少林寺碑」や「唐太宗御書碑」が残されています。

1928年には、軍閥の混戦の中で大火が発生し、天王殿、大雄殿、法堂など、寺の主要な建造物が焼失しました。しかし、近年になって天王殿や禅堂などが再建されています。

禅の発祥伝説

伝説によれば、インド仏教の第28祖であり、中国禅宗の初祖である達磨が、壁に向かって9年間座禅を組んだとされています。そこに二祖慧可が訪れ、達磨に教えを請うたことで、中国に禅の教えが広まったと伝えられています。

曹洞宗の拠点

元代初期、世祖クビライは曹洞宗の雪庭福裕禅師を少林寺の住持に任命しました。雪庭福裕は戦乱で荒廃した嵩山一帯の仏教寺院を修復し、曹洞禅の教勢を拡大しました。それ以降、少林寺は華北地方における曹洞宗の重要な拠点となっています。

現代の少林寺

現代の少林寺は、市場経済化に伴い、物販、観光、武術公演などの商業活動を積極的に行っています。1988年から少林武術ショーを始め、現在では世界各地で公演が開催されています。1996年には公式ウェブサイトを開設し、1998年には関連会社を設立してお茶などの通信販売を行う一方、「少林」「少林寺」など関連する多くの商標を登録しています。

嵩山少林寺南北武術院では、曹洞宗正宗第34代の功夫伝人のもとで、少林寺の基本功、仏門禅学、少林寺気功、少林寺拳法などが教えられています。また、2013年には、少林拳とサッカーを融合させたサッカースクールを建設する計画が発表され、話題を呼びました。

境内

伽藍は壮麗な七堂伽藍であり、北西には初祖庵、南西には二祖庵があり、五乳峰中には達磨洞があります。


少林寺は、2007年に中国の5A級観光地に認定され、2010年にはユネスコの世界遺産に登録されました。この寺は、禅宗と武術の歴史、そして中国文化の奥深さを体感できる貴重な場所として、世界中から多くの人々が訪れています。

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