不思議の壁 (アルバム)

『不思議の壁』：ジョージ・ハリスン初のソロアルバム

『不思議の壁』（Wonderwall Music）は、1968年に発表されたジェーン・バーキン主演の映画『Wonderwall』のサウンドトラックであり、ジョージ・ハリスンが制作した初のソロアルバムです。1969年3月には日本でもリリースされ、音楽ファンに新たな音楽体験をもたらしました。

概要

ビートルズのギタリストとして世界を魅了したジョージ・ハリスンが、自身の音楽性を追求した意欲作。アルバムは、インストゥルメンタル曲を中心に構成されており、時折ボーカルが挿入されるスタイルです。ハリスンが1966年以降に傾倒していたインド音楽の要素が色濃く反映されている点が特徴です。録音はロンドンとボンベイで行われ、同時期には「ジ・インナー・ライト」も制作されました。

音楽性

本作は、ハリスンの音楽的な探求心と実験精神が結実した作品と言えるでしょう。インド音楽で使用される楽器や旋律を大胆に取り入れ、西洋音楽との融合を試みています。メロトロンやテープ・ループといった当時最新の機材も積極的に活用し、独創的な音世界を構築しています。

収録曲

アルバムはSide AとSide Bに分かれており、それぞれ異なる雰囲気の楽曲が収録されています。

Side A

マイクロウブス - Microbes
レッド・レディー・トゥ - Red Lady Too
タブラとパカヴァジ - Tabla and Pakavaj
イン・ザ・パーク - In The Park
ドリリング・ア・ホーム - Drilling A Home
グル・ヴァンダナ - Guru Vandana
グリージー・レッグス - Greasy Legs
スキイング - Ski-ing
ガット・キルワニ - Gat Kirwani
ドリーム・シーン - Dream Scene

Side B

パーティ・シークーム - Party Seacombe
ラヴ・シーン - Love Scene
クライング - Crying
カウボーイ・ミュージアム - Cowboy Museum
ファンタジー・シークインズ - Fantasy Sequins
グラス・ボックス - Glass Box
オン・ザ・ベッド - On The Bed
ワンダーウォール・トゥ・ビー・ヒア - Wonderwall To Be Here
シンギング・オン - Singing Om

2014年の再発盤には、ボーナストラックとして以下の3曲が追加収録されました。

イン・ザ・ファースト・プレイス - In the First Place
オールモスト・シャンカラ - Almost Shankara (The Remo Four)
ジ・インナー・ライト (別テイク・インストゥルメンタル) - The Inner Light (alternative take, instrumental)

演奏者

ジョージ・ハリスン自身が、ピアノ、メロトロン、ギター、テープ・ループ、編曲を担当。ジョン・バーラム、トニー・アシュトンらが脇を固め、インド音楽の演奏家も多数参加しています。エリック・クラプトンやリンゴ・スターも参加したとの説があります。

評価と影響

『不思議の壁』は、発表当時こそ賛否両論ありましたが、現在ではハリスンの音楽性を象徴する重要な作品として評価されています。その実験的なサウンドは、後の音楽家たちに多大な影響を与えました。

このアルバムは、ジョージ・ハリスンの音楽的な才能と探求心を余すところなく表現した作品であり、音楽史における重要な1ページを飾るにふさわしい作品と言えるでしょう。

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