世宗実録地理志

『世宗実録地理志』

『世宗実録地理志』は、朝鮮の歴史における重要な地理誌であり、1454年に編纂されました。この作品は、朝鮮王朝の世宗の治世の中で作成されたもので、王朝の地理や歴史的背景を深く理解するための貴重な資料となっています。『世宗実録』の中の第148巻から第155巻に収録され、全体は8冊から成ります。今現存する地理誌の中では特異な存在でもあります。

本書は、以前の『新撰八道地理志』を基にして編集されたとされており、この先代の文献は現在失われてしまっています。そのため、『世宗実録地理志』は古代の情報を知るための貴重な資料であり、後に『東国輿地勝覧』が編纂される際の基礎となりました。1938年には朝鮮総督府によって索引付きの『校正世宗実録地理志』として出版され、その後1957年にも学習院東洋文化研究所から刊行されています。

内容構成

『世宗実録地理志』は序文から始まり、その後、現京である京都漢城府と、旧都としての開城留後司についての詳細な説明があります。さらに、周辺地域に関する情報も含まれています。近隣の京畿道や忠清道、慶尚道などに関しては、歴史的な背景を交えた説明がなされています。

この地理誌の主な特徴は、具体的な項目に分けて8道に属する府、州、郡、県の歴史的沿革、面積、人口、姓氏、著名な人物の情報、地域産物、特産品、上納品、古跡などを詳しく記載している点です。

特に、三陟都護府や蔚珍県における鬱陵島に関する記述は、地域の地理的背景や交易、歴史の重要性を示しています。また、平安道や咸吉道に関しても同様に詳細に記録されており、朝鮮半島全体の地域特性を知るための大きな手助けとなるでしょう。

明確な情報提供

本書は、朝鮮社会が抱えていた文化的および経済的な側面を理解するための鍵となるものであり、国の発展に関する背景も把握できるようになっています。地理誌には、地域の地勢や物産の詳細が記されているため、当時の人々の生活や取引を知るのに役立つ情報が満載です。

このように、『世宗実録地理志』は単なる地理に関する記録に留まらず、朝鮮の歴史、文化、社会構造を考察するうえで欠かせない重要な文献と言えるでしょう。多くの歴史学者や地理学者にとって、この書は研究の基盤として利用されてきました。現在においても、その価値は高く評価されています。

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