世界無線通信会議

世界無線通信会議（WRC）とは

世界無線通信会議（WRC; World Radiocommunication Conference）は、国際電気通信連合（ITU）によって開催される、電波利用に関する国際的な会議です。この会議では、電波の周波数帯の利用方法、衛星軌道の利用方法、無線局の運用方法など、無線通信に関する重要な規則を定めた「国際電気通信連合憲章に規定する無線通信規則」(RR)の改定が行われます。WRCは、通常2年から3年ごとに開催され、国際的な電波利用のルールを策定する上で非常に重要な役割を果たしています。

WRCの設立と歴史

WRCは、1992年12月にスイス・ジュネーヴで開催されたITUの追加全権委員会議において、機構改革の一環として設立が決定されました。この改革により、それまで存在したCCIR（国際無線通信諮問委員会）とIFRB（国際周波数登録委員会）が統合され、新たにITU-R（国際電気通信連合無線通信部門）が発足しました。WRCは、このITU-Rがそれまでの世界無線通信主管庁会議（WARC）の業務を引き継ぐ形で、1993年に第1回会議が開催されました。

WRCの決定と法的拘束力

WRCで決定された内容は、国際的なルールとして法的拘束力を持ちます。各国は、この決定に基づいて、国内における電波の利用方法や関連する法規制を整備します。したがって、WRCの決定は、各国の電波利用環境に直接的な影響を与えることになります。

主な議題と過去の会議

WRCでは、電波の周波数配分や新しい無線技術の導入など、多岐にわたる議題が取り扱われます。特に近年では、宇宙空間における電波利用に関する議論も活発に行われています。過去の会議では、以下のような議題が取り上げられました。

閏秒に関する議論: 2015年のWRC-15では、閏秒の存続について議論が行われ、当面は存続することになりました。その後、2023年のWRC-23で再び検討され、「2035年までに閏秒に替わる変更案を導入すること」が決定されました。

WRCの会議一覧

以下は、過去に開催されたWRCの主な会議の一覧です。

WRC-93（スイス・ジュネーヴ、1993年11月）
WRC-95（スイス・ジュネーヴ、1995年10月23日 - 11月17日）
WRC-97（スイス・ジュネーブ、1997年10月27日 - 11月21日）
WRC-2000（トルコ・イスタンブール、2000年5月8日 - 6月2日）
WRC-03（スイス・ジュネーヴ、2003年6月9日 - 7月4日）
WRC-07（スイス・ジュネーヴ、2007年10月15日 - 11月9日）
WRC-12（スイス・ジュネーヴ、2012年1月23日 - 2月17日）
WRC-15（スイス・ジュネーヴ、2015年11月2日 - 11月27日）
WRC-19（エジプト・シャルム・エル・シェイク、2019年10月28日 - 11月22日）
WRC-23（アラブ首長国連邦・ドバイ、2023年11月20日 - 12月15日）

関連項目

アマチュア無線の周波数帯

脚注

閏秒#閏秒に替わる変更案

外部リンク

World Radiocommunication Conferences (WRC)
* 総務省 電波利用ホームページ | 世界無線通信会議とは

WRCは、国際的な電波利用の調和を促進し、無線通信技術の発展に貢献する重要な国際会議です。最新の情報については、ITUの公式サイトや総務省の電波利用ホームページをご覧ください。

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