世界社会フォーラム

世界社会フォーラム（WSF）とは

世界社会フォーラム（World Social Forum、WSF）は、スイスのダボスで開かれる世界経済フォーラムに対抗する形で生まれた、アルテルモンディアリスム（もう一つのグローバリゼーション）の国際的なサミットです。グローバリゼーションがもたらす問題に対して、民衆の立場から議論し、解決策を探ることを目的としています。

概要

世界社会フォーラムは、ATTAC（金融取引と市民課税のための行動）の呼びかけによって始まりました。世界の富が一部の人々に偏り、貧困が拡大している現状に異議を唱え、グローバリゼーションがもたらす影響と問題点を民衆の視点から考察する国際的な運動として発展しました。

「ポルトアレグレ会議」という別名があるように、2001年にブラジルのポルトアレグレで第1回が開催されました。「もう一つの世界は可能だ」（Another world is possible）というスローガンを掲げ、世界中のNGOやNPO、社会運動団体が連携し、地球規模の課題に取り組んでいます。

反グローバリゼーション運動と見られることもありますが、実際には、世界の格差構造を見据え、地球規模での連帯を築き、民主的で現実的な代替案を模索する、多様な団体のネットワークです。

2005年には、国際法に違反する可能性のあるイスラエルの行為を停止させるため、ボイコット、投資撤退、制裁（BDS）というグローバル・キャンペーンを呼びかけました。

世界社会フォーラム憲章

世界社会フォーラムの目的や運動の趣旨を定めた憲章は、最初のフォーラムを計画・運営したブラジルの諸組織によって作成され、世界社会フォーラム国際委員会によって承認されました。この憲章は、世界社会フォーラムの活動の指針となっています。

歴史

初期のフォーラム

2001年1月にブラジルのポルトアレグレで第1回世界社会フォーラムが開催され、世界中から12,000人が参加しました。当時、ポルトアレグレは、住民参加型の革新的な地域政府モデルを実験しており、フォーラムの開催を支援しました。第2回は2002年にもポルトアレグレで開催され、参加者は60,000人に増加しました。

拡大と多様化

第3回もポルトアレグレで開催されました。2004年には、インドのムンバイで第4回が開催され、75,000人を超える人々が参加し、文化的多様性や自由ソフトウェアに関する議論が行われました。2005年の第5回は再びポルトアレグレで開催され、参加者は155,000人に達しました。

多極化と地域フォーラム

2006年の第6回は、ベネズエラのカラカス、マリのバマコ、パキスタンのカラチで開催され、多極的な開催となりました。2007年の第7回はケニアのナイロビで開催され、アフリカでの開催は初めてでした。その後、アメリカ各地で地域フォーラムが開催されるなど、世界社会フォーラムは地域レベルでも展開を見せています。

国際行動デー

第8回は特定の場所での開催ではなく、2007年1月26日を「国際行動デー」として、世界各地でイベントが開催されました。

批判

世界社会フォーラムは、グローバリゼーションや資本主義に対する批判の影響を受けています。資本主義は避けられないと主張する人々からは、「グローバリゼーションや資本主義は、世界的な貧困に取り組むための最も効果的なやり方だ」という批判がなされます。しかし、フォーラムの参加者は、「もう一つの世界は可能だ」というスローガンを掲げ、貧困や経済格差を生み出すグローバリゼーションに抵抗しています。

また、フォーラムの意思決定プロセスや、貧しい人々の活動をNGOが取って代わっているという批判もあります。さらに、右派からは左翼運動を包含していること、左派からは実践的なアイデアが不足していることなどが批判されています。

地域フォーラム

世界社会フォーラムの理念は、地域レベルでも展開されています。ヨーロッパ社会フォーラム、アジア社会フォーラム、南部アフリカ社会フォーラム、地中海社会フォーラムなど、地域ごとのフォーラムが開催されています。また、各国やコミュニティレベルでも、社会フォーラムが開催されています。

日本においては、ヤパーナ社会フォーラムが活動しています。

世界社会フォーラムは、グローバルな課題に対するオルタナティブを模索する、重要なプラットフォームとして、今後もその役割を果たしていくことが期待されます。

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