ATTAC

ATTAC（アタック）は、正式名称を「Association pour la Taxation des Transactions pour l'Aide aux Citoyens」（市民を支援するための金融取引課税協会）という、トービン税の実現を目指す社会運動団体です。

背景

ATTACは、元々「Action for a Tobin Tax to Assist the Citizen」と呼ばれており、通貨投機に対するトービン税の導入を求める運動として始まりました。

トービン税とATTAC

ケインズ経済学者のジェームズ・トービンによって提唱されたトービン税の実現を目指し設立されました。しかし、トービン自身はATTACが自身の名前を誤用していると批判し、ATTACとは一切関係がないと主張しています。彼は自由貿易の支持者であり、ATTACが攻撃する対象の全てを支持していると述べています。

歴史

1997年12月、ル・モンド・ディプロマティーク誌の編集長イグナシオ・ラモネがトービン税の導入を提唱する記事を発表しました。この記事が大きな反響を呼び、翌1998年6月にフランスでATTACが創設されました。その後、欧米各国に広がり、欧州社会フォーラムなどの国際会議で活発な運動を展開しています。日本では2001年にATTAC JAPANが結成され、各地に支部が設立されています。

ATTACの成果の一つとして、航空税の導入が挙げられます。これは、航空機利用者を富裕層とみなし、旅行者一人当たり数百円程度の税金を徴収し、貧困国への援助に充てるというものです。フランスでは、ジャック・シラク大統領が提唱し、2005年11月に導入が決定されました。トービン税自体も、EU諸国を中心に理解を示す政治家が増えており、将来的な進展が期待されています。

2001年からは、世界経済フォーラムに対抗する世界社会フォーラムを主宰しています。また、同年にはソフィー賞を受賞しました。

現状

ATTACは、ヨーロッパを中心に活動を展開しており、トービン税の導入だけでなく、アルテルモンディアリスム関連団体との連携を強化しています。日本では反グローバリゼーション団体として紹介されることが多いですが、ATTACを含むアルテルモンディアリストは、国境を超えた市民の連帯を深めるグローバリゼーションには賛成の立場を取っています。ただし、中道右派の政治家であるシラク元仏大統領が移民制限に否定的な立場を取らないなど、明確な線引きは難しいのが現状です。

ネッスルゲート

2008年、ATTACスイスは、ネッスルゲートと呼ばれるスキャンダルに見舞われました。2003年から2005年にかけて、ネスレがATTACスイス支部の諜報活動を警備会社に依頼していたことが発覚したのです。ATTACスイスがネスレを批判する書籍の出版を決定したことが、監視のきっかけとなりました。

関連項目

ル・モンド・ディプロマティーク
アルテルモンディアリスム

外部リンク

イグナシオ・ラモネ; 三浦礼恒 (1997年12月). “金融市場を非武装化せよ”. ル・モンド・ディプロマティーク. https://jp.mondediplo.com/1997/12/article892.html
ATTAC INTERNATIONAL
* ATTAC JAPAN

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