世界選抜 (World XV)

ワールド・フィフティーン（World XV）とは

ワールド・フィフティーン（World XV）は、ラグビーユニオンにおいて、世界中の主要なラグビー国から選ばれたトッププレーヤーたちが、特定の目的のために一時的に招待されて結成される非公式のチームです。特定の協会やリーグに属する常設チームではなく、いわば「期間限定」のドリームチームとして編成される点が最大の特徴と言えます。

このチームの構成員は、その時々で最も注目される代表選手や、プロリーグで活躍するスター選手の中から選ばれます。国籍や所属クラブに関わらず、世界中から集められた優秀なタレントが集結することで、普段は見ることのできない選手間の連携や、個々の卓越したスキルを楽しむことができます。

編成される機会とその性格

ワールド・フィフティーンが結成される主な機会は、以下の通りです。

国代表チームとの親善試合や記念試合: 特定の強豪国代表チームが、記念すべき試合やシーズンオフにワールド・フィフティーンと対戦することがあります。これは、代表チームにとっては実力テストの場となる一方、ワールド・フィフティーン側にとっては世界最高峰の相手に挑む機会となります。
チャリティマッチやイベント: ラグビーの普及や社会貢献を目的としたチャリティイベントの一環として編成されることもあります。ラグビーを通じた国際交流や友好促進の役割も担います。
選手の引退試合やスタジアムの記念試合: 長年活躍した選手の引退を祝う試合や、新しいスタジアムのこけら落とし、あるいは歴史的なスタジアムの閉場記念といった特別なイベントで、華を添えるためにワールド・フィフティーンが編成されることがあります。

これらの試合は、多くの場合、国際統括団体であるワールドラグビーが定める公式なテストマッチとしては認定されません。したがって、これらの試合の結果が各国の世界ランキングに影響を与えることは基本的にありません。ワールド・フィフティーンは、公式な競技としての側面よりも、エキシビションや祝祭的な要素が強いチームと言えるでしょう。しかし、それでも参加する選手たちは真剣にプレーし、ハイレベルな試合が展開されます。

歴史的な成り立ち

ワールド・フィフティーンとして初めてチームが編成され、国際的な注目を集めたのは、1977年8月27日に南アフリカ共和国代表チームと対戦した時であるとされています。この試合が、多国籍の選手が集結して特定の相手と対戦するという、現在のワールド・フィフティーンの形式の始まりと見なされています。以降、様々な機会にワールド・フィフティーンは結成され、ラグビーファンに驚きと興奮を提供してきました。

関連する招待チームとの比較

ラグビーユニオンには、ワールド・フィフティーン以外にも、特定の基準で選ばれた選手が集まって試合を行う招待チームが存在します。代表的なものに、ブリティッシュ・アンド・アイリッシュ・ライオンズやバーバリアンズがあります。

ブリティッシュ・アンド・アイリッシュ・ライオンズ: イングランド、スコットランド、ウェールズ、アイルランドの「ホームユニオン」と呼ばれる4協会の選手から選抜されるチームです。4年に一度、南半球の強豪国（ニュージーランド、オーストラリア、南アフリカ）へのツアーを行い、公式なテストマッチシリーズを戦います。地域に限定された選抜チームであり、その活動は非常に権威のあるものとして位置づけられています。
* バーバリアンズ: 主にイングランドで活動する、世界中の優れた選手を招待して編成されるチームです。特定のクラブや国に縛られず、攻撃的で華やかな「バーバリアンスタイル」と呼ばれるプレーを追求します。ワールド・フィフティーンと同様に非公式な性格が強いですが、比較的定期的に試合を行っており、独自の伝統と哲学を持っています。

これらと比較すると、ワールド・フィフティーンは最も広範な国籍の選手によって構成される点、そして編成の機会が比較的少なく、特定のイベントに特化している点で異なります。その都度、異なる選手が集まるため、チームとしての継続性はありませんが、それが逆に、その試合のためだけに結成された「スペシャルなチーム」としての魅力を高めています。

まとめ

ワールド・フィフティーンは、公式な国際大会とは一線を画す存在でありながら、世界中のラグビーのスター選手が一堂に会する稀有な機会を提供します。国際交流、ラグビーの魅力の発信、そしてファンへの特別なエンターテイメントとして、ラグビーユニオンの世界においてユニークで重要な役割を果たしています。その試合は、選手たちの卓越したプレーと、国境を越えたチームワークが生み出す感動に満ちています。

※本項目では、ワールド・フィフティーンの一般的な概要を説明しました。個別の対戦記録や詳細な歴史については、別途専門的な資料を参照してください。

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