世紀の怪物/タランチュラの襲撃

『世紀の怪物/タランチュラの襲撃』（原題: Tarantula!）は、1955年に公開されたアメリカのSF怪獣映画です。ウィリアム・アランドが製作、ジャック・アーノルドが監督を務め、ユニバーサル・ピクチャーズが配給しました。主演はジョン・エイガー、マーラ・コーディ、レオ・G・キャロルです。

本作は、ジャック・アーノルドが監督したTVシリーズ『Science Fiction Theatre』の中の1編『No Food for Thought』を原案としています。アーノルドと脚本家のロバート・M・フレスコが原案を練り上げ、フレスコとマーティン・バークレイが脚本を執筆しました。

あらすじ

物語は、アリゾナ州を舞台に展開されます。高名な生物学者ディーマー博士は、助手のジェコブとランドと共に、食糧不足に備えて生物を巨大化させる栄養素の研究に没頭していました。研究の一環として動物実験が行われていましたが、やがて助手たちが自らを実験台にしてしまいます。ジェコブは異常な発達を遂げ、砂漠で死体となって発見されます。博士は保安官と医師に対し、ジェコブの死因を病死と偽りますが、医師マットは彼の死体に先端巨大症の兆候を見抜き、不審を抱きます。

さらに、ランドが発狂し、ディーマー博士に薬を投与した際に、実験動物のタランチュラが逃げ出してしまいます。タランチュラは巨大化し、街に迫る怪獣と化します。

最終的に、巨大タランチュラは空軍のナパーム弾によって焼き尽くされ、人々は危機を脱します。

キャスト

マット・ヘスティングス - ジョン・エイガー（小林修）
ディーマー博士 - レオ・G・キャロル（真木恭介）
ステファニー・クレイトン - マーラ・コーディ（翠準子）
アンドリュウス保安官 - ネスター・ペイヴァ（島宇志夫）
* クリント・イーストウッド

制作の背景

1950年代中期は、巨大動物や巨大昆虫が登場する特撮映画が発展した時期でした。本作では、ディーマー博士の研究室にいるウサギやモルモットを、実際の動物と遠近法を利用して巨大に見せる工夫が凝らされています。タランチュラも本物が使用され、顔や牙のクローズアップ、ナパーム弾による炎上シーンなどのミニチュア撮影が行われました。前年に公開された『放射能X』と比較して、よりリアルな映像表現が追求されています。

監督のジャック・アーノルドは、多くの人々がクモを恐れていることに着目し、本作を制作しました。彼は2年後、『縮みゆく人間』でも再びクモを登場させています。

作品の意義

『世紀の怪物/タランチュラの襲撃』は、特撮技術の進歩とともに、人々の潜在的な恐怖を刺激する怪獣映画として、SF映画史にその名を刻んでいます。科学技術の発展と倫理、そして自然への畏敬の念といったテーマを内包した作品としても評価されています。

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