丘の家のミッキー

丘の家のミッキー

『丘の家のミッキー』は、久美沙織による日本の人気少女小説シリーズです。1984年から集英社コバルト文庫より刊行された全10巻の物語で、読者からは「おかみき」の愛称で親しまれています。挿絵はめるへんめーかーが担当し、漫画化もされました。

作品の特徴

本作は発表当初から映像化の要望が多数寄せられましたが、原作者の久美沙織は小説の繊細な世界観を重視し、映像化には至っていません。しかし、2020年には作者がアニメ化に前向きな発言をするなど、今後の展開に期待が寄せられています。

2001年には新装版がコバルト文庫から発売され、竹岡美穂が挿絵を担当しました。新装版では、1980年代の時代背景や作品の意図を解説する追記ページが設けられています。2014年には電子書籍版も発売され、再びめるへんめーかーが挿絵を担当し、作者との対談が追加されました。

ストーリー

主人公は、東京にあるカトリック系のお嬢様学校『私立 華雅学園』に通う浅葉未来。洗礼名から“ミシェール”と呼ばれています。華雅学園は、家柄や住居、職業など、一流の条件を備えた者のみが入学を許される特別な学校です。

しかし、中学3年の春、未来は父親の突然の宣言に驚愕します。父が長年の夢だった葉山への引っ越しを決めたのです。通学距離の制限から、未来は転校を余儀なくされ、森戸南女学館という女子校に転入することになります。

新しい学校での生活は、これまでとは全く異なり、未来はカルチャーショックを受けます。しかし、同級生の西在家麗との出会いをきっかけに、徐々に新しい環境に馴染んでいきます。また、麗の兄である朱海との交流を通じて、未来は初めて異性との関係に戸惑いながらも、心を開いていきます。

朱海は未来のためにヨットを修理し、“ミッキー”と名付けます。このヨットを通じて、未来は新しい自分を発見し、家族の温かさに気づいていくのです。

登場人物

浅葉 未来（あさば みく）
主人公。華雅学園ではミシェールと呼ばれ、森戸南女学館ではミッキーと呼ばれるようになります。箱入り娘として育ちましたが、転校を機に成長していきます。
浅葉 譲吉（あさば じょうきち）
未来の父。銀行の支店長で、葉山に引っ越すことを決意します。娘を溺愛する優しい父親です。
浅葉 英子（あさば えいこ）
未来の母。専業主婦で、娘を大切に育てています。
羅士丸（らしまる）
浅葉家で飼われているダルメシアンの子犬。
西在家 麗（にしざいけ うらら）
森戸南女学館で未来の友人となる少女。活発で明るい性格です。
西在家 朱海（にしざいけ あけみ）
麗の兄。未来にヨットをプレゼントし、親しくなります。

聖嘉津緒戦争

『聖嘉津緒戦争』は、『デュエット』に収録された短編で、「おかみき」とのクロスオーバー作品です。嘉津緒町という漁師町を舞台に、網元派と仲買派の勢力争いが描かれます。

ストーリー

太平洋に面した嘉津緒町では、網元派と仲買派が対立していました。そんな中、私立嘉津緒女学館高校に転校生の花野美也子がやってきます。

登場人物

土佐 克緒（とさ かつお）
放送部の部長で、仲買人の元締めのご令嬢。
星 美鈴（ほし みすず）
演劇部の部長で、網元のご令嬢。
* 花野 美也子（はなの みやこ）
華雅学園からやって来た転校生。

『丘の家のミッキー』は、少女の成長や家族の温かさを描いた心温まる物語です。未だ映像化されていませんが、その繊細な世界観は多くのファンを魅了し続けています。

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