両唇鼻音

両唇鼻音（りょうしんびおん）とは

両唇鼻音は、子音の分類における一つの音であり、音声学において重要な概念です。この音は、下唇と上唇を閉じることで気流を遮断し、同時に口蓋帆を下げて鼻腔へと呼気を送ることで生成されます。国際音声記号では[m]と表記され、この記号は多くの言語の音声表記に用いられています。

発音のメカニズム

両唇鼻音の発音は、以下の要素によって特徴づけられます。

気流の起こし手: 肺からの呼気を利用します。つまり、息を吐き出す際に発声します。
発声: 声帯の振動を伴う有声音です。喉の振動を感じることができるでしょう。
調音位置: 下唇と上唇を接触させる両唇音です。この点が、他の子音との大きな違いです。
調音方法:
口腔内の気流: 口腔内の気流は完全に遮断されます。
調音器官の接近度: 上下唇を完全に閉鎖し、その後開放する閉鎖音の一種です。閉鎖と開放を繰り返すことで音が生み出されます。
口蓋帆の位置: 口蓋帆を下げ、鼻腔へ呼気を送ることで鼻音として発音されます。鼻から息が抜ける感覚が特徴です。

言語における例

両唇鼻音[m]は、モホーク語などを除き、世界中のほとんどの言語に存在します。この音は非常に一般的であり、言語を問わず乳幼児期に比較的早期に習得される音の一つです。

日本語においては、「ま(ma)」、「み(mi)」、「む(mu)」、「め(me)」、「も(mo)」のように、ま行の頭子音として現れます。

各種文字体系での表記

両唇鼻音[m]は、世界のさまざまな文字体系で、以下のような文字で表現されます。

アラビア文字: م
ラテン文字: m
ギリシア文字: μ
キリル文字: м
注音符号: ㄇ
ハングル: ㅁ

これらの文字は、各言語において、それぞれ異なる音価を持つこともありますが、多くの場合、両唇鼻音[m]を表すために使用されます。

音声学における重要性

両唇鼻音は、音声学において、子音の分類や音韻論的な分析を行う上で、基準となる音の一つです。また、言語の音声構造を理解する上で、基本的な要素となります。さまざまな言語に共通して現れる普遍性を持つ一方で、言語によっては、この音を用いた特定の音韻規則が存在する場合もあります。

まとめ

両唇鼻音[m]は、音声学において重要な子音の一つであり、その発音メカニズムや言語における分布は、言語学を学ぶ上で不可欠な知識です。国際音声記号[m]を理解することで、言語間の音の違いや共通点をより深く理解することができるでしょう。

参考文献

Ladefoged, Peter and Sandra F. Disner (2012) Vowels and Consonants, Wily-Blackwell, 『母音と子音：音声学の世界に踏み出そう』田村幸誠・貞光宮城訳、開拓社、2021年. ISBN 978-4-7589-2286-9
子音
国際音声記号 - 子音

もう一度検索