両松寺

両松寺について

両松寺（りょうしょうじ）は、兵庫県養父市大屋町明延にある真言宗に属する寺院で、薬師如来の坐像が本尊として祀られています。この寺院はその厳かな雰囲気と豊かな歴史で知られ、多くの訪問者を魅了しています。

歴史

創建

両松寺の起源は平安時代に遡ります。具体的には、平安時代初期にはすでに明延鉱山での銅の採掘が行われていたことが記録に残っており、寺院の創建は平安時代中期の永承年間（1046年〜1053年）にさかのぼります。この頃、山路寺の覚増上人により両松寺が開基されたとされています。

近世

時代が進むと、天正年間（1573年〜1592年）に明延鉱山が復興し、両松寺も中興を遂げました。特に文禄5年（1586年）には、八木藩主の別所吉治が明延鉱山の代官を務めていた際、同鉱山で採掘された銀と銅の合金を用いた梵鐘が鋳造されました。江戸時代には、この鉱山は但馬三山に数えられるほどの重要な鉱山であり、江戸幕府による直轄支配の下にありました。元禄12年（1699年）には明延集落が形成され、67軒の家が並び、活気を呈していました。

また、15世紀から16世紀には隼人山銀賞寺に改称される時期もありましたが、寛永年間（1624年〜1644年）に再び両松寺に戻りました。この寺院は、明延鉱山の状況に応じて無住の時期も多く経てきました。

近現代

明治時代に突入すると、明延鉱山は明治政府の直轄となり、1909年には錫鉱脈が発見され、その時期には日本国内の錫の90%以上を自給していました。1903年には、密伝法印が25世の住職として両松寺に入山しました。しかし、1913年には明延大火が発生し、両松寺の本堂を含む15軒が焼失するという悲劇がありました。

太平洋戦争中には、全国の寺院から梵鐘が供出されましたが、慶長年間以前に鋳造された梵鐘はその文化財的価値を理由に供出の対象外となりました。南但（但馬地方南部）では、両松寺の梵鐘と生野町の金蔵寺の梵鐘が唯一、供出を免れています。梵鐘はもともと隣接する和田神社の境内にあったが、1982年に現在の両松寺の鐘楼に移設されました。1987年には明延鉱山が閉山され、その影響で明延集落の人口は急激に減少しました。

境内

両松寺の境内には本堂、山門、そして文禄5年に鋳造された鐘楼があります。梵鐘の大きさは高さ約110cm、口径約85cmであり、養父市最古のものであり、文化財として保護されています。境内では静かに時が流れ、訪れる人々に深い安らぎを与えています。

交通アクセス

両松寺の所在地は兵庫県養父市大屋町明延657-0436で、JR山陰本線の八鹿駅から全但バスを利用し、約60分の距離にあります。自然豊かな環境に位置し、訪れた人々はその美しさや歴史に触れることができます。

両松寺は単なる寺院に留まらず、その背後にある歴史や文化を学ぶ場としても多くの人に愛されています。

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