両浙路

両浙路（りょうせつろ）とは

両浙路は、中国の北宋時代に存在した地方行政区画の一つです。現在の浙江省を中心に、江蘇省の一部（上海市を含む）、そして福建省の一部を含む広大な地域を管轄していました。

両浙の語源と歴史

「両浙」という名称は、揚子江下流の南岸地域を指す言葉に由来します。具体的には、銭塘江（せんとうこう）の別名である浙江（せっこう）を境として、その南側を「浙東（せっとう）」、北側を「浙西（せっせい）」と呼び、この二つを合わせて「両浙」と称したのが始まりです。

唐代には、この地域に両浙道（りょうせつどう）が設置されました。唐末になると、銭鏐（せんりゅう）が両浙道に勢力を築き、呉越（ごえつ）という国を建国します。北宋が成立すると、この呉越の領域を引き継ぐ形で両浙路が設置されました。

両浙路の行政区分

北宋時代の両浙路は、以下の14州と2軍から構成されていました。

蘇州（そしゅう）
常州（じょうしゅう）
潤州（じゅんしゅう）
杭州（こうしゅう）
湖州（こしゅう）
秀州（しゅうしゅう）
越州（えつしゅう）
明州（めいしゅう）
婺州（ぶしゅう）
衢州（くしゅう）
睦州（ぼくしゅう）
温州（おんしゅう）
処州（しょしゅう）
江陰軍（こういんぐん）
* 順化軍（じゅんかぐん）

両浙路の変遷

熙寧年間（1068年 - 1077年）には、両浙路は一時的に東西に分割されましたが、間もなく元の形に戻されました。しかし、南宋が成立し、杭州に行在（仮の都）である臨安府（りんあんふ）が置かれると、再び東西に分割されることになります。

ただし、その後も東西両路を合わせた地域を指す俗称として、「両浙」という名称は引き続き用いられました。

まとめ

両浙路は、北宋時代における重要な地方行政区であり、その領域は経済的にも文化的にも発展していました。その名称の由来や行政区分の変遷を理解することで、当時の中国の地方行政制度や歴史の流れをより深く理解することができます。

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