明州

明州（めいしゅう）とは

明州は、中国とベトナムに歴史的に存在した州の名前です。複数の時代と場所に同名の州が存在したため、それぞれの明州について詳しく解説します。

唐代に浙江省寧波市一帯に設置された明州

唐の開元年間（713年 - 741年）に、現在の中国浙江省寧波市一帯に明州が設置されました。この明州は、越州鄮県に置かれたのが始まりです。

738年（開元26年）： 唐により越州鄮県に明州が設置される。
742年（天宝元年）： 明州は余姚郡と改称される。
758年（乾元元年）： 余姚郡は明州の称に戻る。

この時代の明州は江南東道に属し、鄮・奉化・慈渓・翁山の4県を管轄しました。その後、南宋時代の1194年（紹熙5年）には、明州は慶元府に昇格します。慶元府は両浙路に属し、鄞・奉化・慈渓・定海・象山・昌国の6県を管轄しました。

さらに、元代に入ると1277年（至元14年）に慶元府は慶元路と改められ、江浙等処行中書省に属するようになりました。慶元路は録事司と鄞・慈渓・定海・象山の4県、そして奉化州と昌国州を管轄しました。その後、1367年には朱元璋によって慶元路は明州府と改められました。そして1381年（洪武14年）には、明により明州府は寧波府と改称され、現在に至ります。

南朝梁時代にベトナムハティン省一帯に設置された明州

南朝梁の武帝時代に、現在のベトナムハティン省一帯にも明州が設置されました。これは、交州から交谷県を分割して置かれたものです。

南朝梁の武帝時代： 交州から交谷県を分割して明州が設置される。
605年（大業元年）： 隋により明州は廃止され、驩州に編入される。

この明州は、隋の時代になると廃止され、驩州に編入されました。

唐代にベトナムハティン省一帯に設置された明州

唐の武徳年間（618年 - 626年）には、再び現在のベトナムハティン省一帯に明州が設置されました。これは、南徳州越裳県に置かれたものです。

622年（武徳5年）： 南徳州越裳県に明州が設置される。

この明州は、越裳・万安・明弘・明定の4県を管轄しました。しかし、639年（貞観13年）には廃止されています。

唐代に貴州省銅仁市一帯に設置された明州

唐の貞観年間（627年 - 649年）には、現在の中国貴州省銅仁市一帯にも明州が設置されました。この明州は、西趙蛮の地に置かれ、その首領である趙磨が明州刺史に任命されました。

* 647年（貞観21年）： 唐により西趙蛮の地に明州が置かれる。

この明州は、その後の歴史については詳しい記録が残っていません。

まとめ

明州は、中国とベトナムの複数の場所に同名の州が存在した、複雑な歴史を持つ地名です。特に、浙江省寧波市一帯の明州は、その後の慶元府、そして寧波府へと名前を変えながら現代に繋がっています。それぞれの明州の設立と変遷を理解することで、当時の行政区画や歴史の流れをより深く理解することができます。

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