並木橋駅

並木橋駅：幻の東横線駅

並木橋駅は、かつて東京都渋谷区中通2丁目に存在した東京急行電鉄東横線の駅です。1946年に廃止されたこの駅は、短い生涯の中で、地域の足として重要な役割を果たしました。

概要

並木橋駅は、現在の渋谷駅から約500メートルの地点、渋谷川の右岸、明治通りと並木橋が交差する付近に位置していました。1927年の東横線開業と同時に開設され、近隣の國學院大學、実践女子学園、青山学院、東京農業大学、常磐松高等女学校（現・トキワ松学園中学校・高等学校）などの学校への通学に利用されていました。駅の東側には、玉川電気鉄道天現寺橋線の並木橋電停も存在し、交通の要衝としての役割を担っていました。

しかし、1945年5月24日・25日の空襲により駅舎は全焼。これにより駅は休止を余儀なくされ、翌1946年に正式に廃止されました。

駅の廃止後も、高架自体は2013年3月15日まで使用されていました。そのため、ホームの側壁は線路の付け替え時まで残存していました。また、駅跡付近では夜間に列車の留置が行われ、その際に乗務員が使用するステップが側壁上に設けられていました。

2013年3月16日、東横線は東京メトロ副都心線との直通運転を開始し、渋谷 - 代官山間は地下に移設されました。それに伴い、高架撤去工事が行われ、2014年までに駅の遺構は完全に消滅しました。現在、跡地付近は遊歩道として整備され、かつての駅の面影を偲ぶことはできません。

歴史

1927年8月28日：東横線開業と同時に開設。
1930年：下りホームに階段を増設し、構内踏切を廃止。
1945年5月24日 - 5月25日：空襲により駅舎が全焼。
1945年6月1日：休止。
1946年5月31日：正式に廃止。

駅構造

並木橋駅は、相対式ホーム2面2線の高架駅でした。ガード下には木造駅舎があり、開業当初はホーム南側に構内踏切が設置されていました。その後、1930年に下りホームに階段が設置され、構内踏切は廃止されました。

その他

1939年10月20日公開の東宝映画『愛の設計』（藤田潤一監督）では、出征する兵士を見送るシーンのロケーション撮影がこの駅で行われました。

隣の駅

東京急行電鉄

東横線

渋谷駅 - 並木橋駅 - 代官山駅

参考文献

宮脇俊三編著『鉄道廃線跡を歩くVIII』、JTB、2001年、114-115頁

関連項目

日本の鉄道駅一覧
廃駅
天井桟敷

並木橋駅は、今はなき駅ですが、東横線の歴史を語る上で欠かせない存在です。その短い生涯の中で、多くの人々の生活を支え、映画のロケ地としても利用されました。駅の遺構は消滅しましたが、その名前は今もなお、地域の人々の記憶に刻まれています。

もう一度検索