渋谷川

渋谷川と古川の概要

渋谷川（しぶやがわ）は、東京都渋谷区を中心に流れる長さ2.4kmの二級河川です。この川は渋谷駅の南側から天現寺橋に至るまでの間を流れており、その流域には独特の地質が存在しています。また、古川（ふるかわ）は渋谷川の下流に位置し、天現寺橋下の笄川と合流し、浜崎橋を経て東京湾へと注ぎ込みます。その長さは約4.4kmで、こちらも二級河川として位置付けられています。

渋谷の名称の由来

「渋谷」の名は地形に由来すると言われます。ここでの「谷」は明らかですが、「渋」については、渋谷川の水が赤茶色であることが影響しているという説があります。流域には、渋谷粘土層と呼ばれる特有の層が存在し、この地層が水を遮るため、上層の関東ローム層に雨水が浸透し、その鉄分が溶け込むことで川の水が渋色に染まることが原因とされています。現在でも、渋谷で汲まれる井戸水には、全国平均の24倍もの鉄分が検出されています。

また、渋谷という名称が、かつての大和市に存在した渋谷氏一族の居住地から派生したとの説もあり、さらに「塩谷（しおや）」が変化して渋谷になったとも言われています。

渋谷川と古川の流路

渋谷川は稲荷橋から始まる流れを持ち、広尾や麻布の地下を通過し、芝公園の南側を経て東京湾に注ぎます。1986年から、老朽化した護岸の改修が行われ、コンクリート護岸による強化が施されていますが、古川の方はまだ石積護岸の部分が残っており、川幅が広がっています。

さらに、天現寺橋の近くから下流には首都高速道路が通っており、川とは交差する形で存在しています。元々、渋谷川は穏田川と呼ばれる部分も含まれており、源流は新宿御苑内に位置していました。

渋谷川の変遷

明治時代には、渋谷川の上流から宮益橋までが「穏田川」と呼ばれ、その後、川の暗渠化が進みました。特に1934年には部分的に暗渠化され、東急百貨店が建設されました。1957年には台風22号の影響で氾濫があり、1961年には一部区間が暗渠化されましたが、河川法上は依然として川として存在しています。その後、再開発に伴い、2009年には暗渠区間が下水道に変更され、これによって渋谷川は新たな起点から流れる形となりました。

支流と水源

渋谷川はかつて多くの支流を持っていましたが、現在ではほとんどが暗渠化されています。しかし、清流復活事業により、再生水が供給されています。主な支流には入間川、桜川、赤羽川、玉名川などがあり、それぞれ独自の水源を持っています。

生態系と沿革

渋谷川の生態系も興味深いです。下流の地域ではボラが確認されており、中流ではギンブナやヒメダカなどの生物が生息しています。特に、中流部には季節によってカルガモやアオサギが飛来することでも知られています。

江戸時代から平成にかけて、渋谷川は都市化に伴い様々な変化を経験しました。1653年には玉川上水の工事により流量が増加し、水車が設置されました。その後、明治時代から昭和初期にかけて急速な都市化が進み、河川のコンクリート化が進行。近年では、清流復活事業の一環として再生水の供給が行われるなど、地域の生態系の復興が図られています。

まとめ

渋谷川と古川は、東京都の自然や歴史に深く関わる河川です。これらの川は、過去の都市化や環境問題を乗り越え、現在も地域の水の重要な供給源として機能しており、また生態系の保護にも努められています。

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