並木浩士

並木 浩士（なみき こうし）氏は、1962年8月22日に神奈川県横浜市に生まれ、日本の映像監督として多岐にわたる分野で活躍しています。神奈川県立旭高等学校を経て、横浜放送映画専門学校（現在の日本映画大学）で専門的な学びを深めました。現在は、アンダー・ウォーター・ヴィジュアルの代表を務めています。

氏のキャリアは1980年代半ばに始まります。1985年には、養護施設での言語指導の記録を構成・演出したドキュメンタリー映像作品『わたしのああなたのア』を制作。この作品は、詩人の谷川俊太郎氏が詩を提供し、波瀬満子氏が出演したもので、ビデオ作品として発売されると養護施設関係者を中心に大きな話題を呼びました。続く1986年と1990年には、谷川俊太郎氏が原案を手がけ、波瀬満子氏が共同演出を務めた児童劇『やってきたアラマせんせい』の演出を担当。この児童劇は、当時の厚生省（現在の厚生労働省）より中央児童福祉文化財として推薦されるという栄誉に輝き、氏の初期の仕事における社会的意義を示す実績となりました。

1990年代に入ると、氏の活動範囲はさらに広がります。1992年には、東京・パルコ劇場で上演された日本語パフォーマンス舞台作品『ぱあぷるとんかち』の演出を担当。この作品は、谷川俊太郎氏が台本を執筆し、プロデューサーとして知られる九條今日子氏が制作を手がけた意欲的な舞台でした。また、この頃から映像作品の演出も活発に行うようになります。1997年には、CTN放送にてセミドラマ『中野･中原中也』の演出を手がけ、翌1998年には高齢者福祉をテーマにしたドキュメンタリー『天まであがれ』、1999年には再びCTN放送でセミドラマ『中野･阿部定事件』の演出を担当するなど、様々なジャンルの番組制作に携わりました。

特に1999年以降は、格闘技分野の映像制作において先駆的な役割を果たします。DDTプロレスリングやNEO女子プロレス、プロレス活き活き塾、PWCプロレスといった多様な格闘技団体の映像演出を手がけ、同時にCS放送、CATV、ペイパービューといった様々な放送プラットフォームで、数多くの格闘技関連番組を精力的に制作・放映しました。この時期の活動は、プロレスや格闘技といったジャンルにおける映像コンテンツの可能性を広げるものとなりました。

2000年代に入っても、氏の映像制作は続きます。2001年にはTVドラマ『太宰word』、2004年にはTVドラマ『八木重吉』（いずれもCTN放送）の演出を担当し、文学作品を題材にした映像化にも取り組みました。そして2003年には、映像による公式記録として制作に携わった『2003年FIFAワールドカップ・パブリックビューイング』関連映像が、世界的な広告の祭典として知られるカンヌ国際広告祭でグランプリを獲得するという快挙を達成し、国際的な評価を得ました。

2006年からは、オーストラリアなどで開催される南半球最大の格闘技イベント「エクスプロージョン」の映像演出および世界放送用の番組制作を担当するなど、海外での活動も展開しています。また、2009年にはカンボジアにおける地雷除去活動「クリアランドプロジェクト」の公式映像制作を手がけ、社会貢献に繋がる映像制作にも携わりました。同年には、美術家である鈴木寅二啓之氏の活動を記録したドキュメンタリー映画『猿田彦土中神社』を監督し、東京と名古屋で劇場公開するなど、映画監督としても確かな足跡を残しています。

このように、並木浩士氏はドキュメンタリー、ドラマ、舞台、格闘技、広告、社会活動記録といった非常に幅広い分野で映像表現に取り組み、その才能を発揮し続けている映像監督です。

主な監督・演出作品：

映画
『猿田彦土中神社』（2009年）

テレビ番組・その他
「中野･中原中也」（1997年）
「天まであがれ」（1998年）
「バトルオブザミレニアムDDTプロレス」（1999年 - 2003年）
「中野･阿部定事件」（1999年）
「太宰word」（2001年）
「GOGOバトル塾」（2003年 - 2006年）
「八木重吉」（2006年）

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