中ソ紛争

1929年 中ソ紛争

1929年の中ソ紛争（ちゅうそふんそう）は、ソビエト連邦と中華民国の間で発生した軍事衝突で、特に中東鉄道の利権を巡る対立が背景にあります。この事件は、北伐に成功した後の統一中国にとって、初の外国との軍事的対決となりました。

紛争の背景

紛争の発端は、中国側が中ソ共同管理のもとにあった中東鉄道の権益を実力で回収しようとしたことにあります。1917年に始まったロシア革命の影響を受け、臨時政府時代から続く混乱の中で、ソ連は1924年に中東鉄道の利権を直隷派の北洋政府から承継しました。しかし、張作霖の奉天派政権はこれに抵抗し、中国とソ連の間で緊張が高まりました。

1928年12月、張学良は電話局を占拠することで中東鉄道の実力行使による回収を開始しました。これが紛争の前触れとなり、その後のハルビンでの捜索活動や中国共産党の活動が、緊張をさらに高める結果となりました。

軍事的衝突

1929年に入ると、張学良の行動がエスカレートし、ソ連側の職員を追放する決定が下されました。これに対してソ連は、外交的手段による解決を求めましたが、双方の間にはすでに深刻な対立が存在しました。7月には、各国の圧力が高まり、外交交渉が続けられましたが、合意には至りませんでした。

8月になると、ソ連は特別極東軍の編成を進め、中国との戦闘に備えました。対する中国側も、東北軍を配置し、準備を整えて対峙します。両国の軍事的示威活動は続き、次第に衝突が発生する日が迫っていきました。

中ソ両軍の本格的な戦闘は、9月から始まりました。主に松花江周辺での攻撃が展開され、中国側は数回の敗北を喫しました。ソ連側はその戦力を増強し、実際に中国の領土へと進攻します。特に、黒龍江流域での戦いでは、ソ連軍の水上艦隊が中国の艦隊に対し優位に立ちました。

ハバロフスク議定書とその後

こうした状況を受けて、中国は停戦を模索し始め、最終的にはハバロフスク議定書が結ばれるに至ります。この協定では、両国の利益を相互に調整する内容が盛り込まれましたが、中国側はこの協定に対し不満を抱いていました。

結果として、ソ連軍は撤収し、1929年12月には中東鉄道の運行が再開されましたが、中国の国民政府が協定に関して疑念を持ち続けたため、両国の関係はその後も緊張したものとなりました。これは、満洲事変が発生する原因ともなり、結果的に中ソ間の外交関係に長期的な影響を及ぼすこととなりました。

この事件は、中国にとって初の本格的な対外戦争であり、その後の国際関係における重要な転機となったとされています。

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