中ノ瀬幸泰

岐阜県高山市出身、1972年10月8日生まれの元プロ野球選手、中ノ瀬幸泰氏。

高校時代は地元の高山工業高校で投手として活躍し、岐阜県内では将来を嘱望される好投手として知られていましたが、残念ながら春・夏ともに甲子園の舞台に立つことはできませんでした。

高校卒業後、社会人野球の名門、西濃運輸に入社。野球部に所属し、その才能をさらに開花させます。入部4年目にあたる1994年の第65回都市対抗野球大会では、圧巻の投球を披露。社会人野球に金属バットが導入されて以降の大会において、史上初となる2試合連続完封という歴史的な快挙を成し遂げました。この活躍がチームを決勝まで導き、西濃運輸は準優勝という輝かしい成績を残します。中ノ瀬氏自身も、この大会での傑出したパフォーマンスが評価され、優秀選手に贈られる久慈賞（敢闘賞）を受賞するなど、社会人野球界で一躍その名を轟かせました。鋭いスライダーや落差のあるフォークボールを操る、完成度の高い投手でした。

その実力がプロ球界からも注目され、1995年のプロ野球ドラフト会議では、阪神タイガースから2位指名を受け、逆指名という形で念願のプロ入りを果たします。背番号は34を背負いました。プロ1年目の1996年には、開幕一軍のベンチ入りメンバーに名を連ね、シーズン開幕戦である4月5日の対読売ジャイアンツ戦（東京ドーム）で、7回裏にプロ初登板を果たしました。しかし、この試合では厳しい洗礼を浴び、このシーズンの一軍登板はわずか7試合にとどまります。その後、二軍では着実に経験を積み、1998年にはウエスタン・リーグで最優秀防御率のタイトルを獲得するなど優れた成績を残しましたが、一軍の厚い壁に阻まれ、なかなか期待されるような結果を残すことができませんでした。

プロでの壁に苦しみ、1999年シーズン限りで球団から戦力外通告を受けます。現役続行を目指して西武ライオンズの入団テストに挑戦しましたが、残念ながら合格には至りませんでした。

プロ生活に区切りをつけ、かつて所属した西濃運輸野球部へ復帰。再びチームのエースとしてマウンドに立ち、その手腕をいかんなく発揮します。復帰初年度の2000年には第30回JABA四国大会で最優秀選手賞に輝くなど、健在ぶりを示しました。2003年には、同じく岐阜県内で競い合っていたライバルチーム、昭和コンクリートの休部に伴い、同チームから7名の選手が西濃運輸に移籍してきました。その中には、阪神時代の同期である林純次氏もいましたが、中ノ瀬氏は新たなチームメイトを迎え入れた投手陣を巧みにまとめ上げ、優れたリーダーシップを発揮。チームの柱として、後輩投手たちを牽引しました。このチームへの貢献とリーダーシップが認められ、翌2004年シーズンからはコーチを兼任する形でプレーを続けました。

そして2004年シーズンをもって現役を引退。グラウンドを離れた後もチームに残り、翌2005年から2009年までの5年間は、投手コーチとして後進の指導にあたり、社会人野球でのキャリアを全うしました。

2010年以降は、岐阜日野自動車に勤務する傍ら、岐阜経済大学（2019年4月に岐阜協立大学に改称）硬式野球部のコーチを務めるなど、アマチュア野球の発展と後進の育成にも尽力されています。選手としての輝かしい実績に加え、指導者としても手腕を発揮し、野球界に貢献し続けている人物です。

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