中ノ鳥島

中ノ鳥島（なかのとりしま）

中ノ鳥島は、かつて北緯30度05分、東経154度02分に存在したとされる幻の島で、日本の領土として公式に認定された時期があった特異な存在です。この島は別名「ガンジス島」とも呼ばれ、その周辺には「ガンジス礁」があったと伝えられています。自然科学的観点からは実在が考えにくいものの、日本の地図上では長い間その位置が示されていました。

概要

中ノ鳥島の発見は、1815年から1851年にかけて活動したアメリカの捕鯨船「ガンジス号」に由来するとされています。この船は数々の島を発見したが、実際の中ノ鳥島の位置は不明で、歴史的にはさまざまな座標が示されています。

例えば、アメリカの探検家ナサニエル・ボーディッチの1832年版「ボーディッチ航海術書」や、同時期の探検家ジェレミア・レイノルズの記録に中ノ鳥島の座標が載せられました。しかし、1888年版にはその記載が削除され、1880年にはアメリカ海軍によって中ノ鳥島は海図から消されました。

日本での「発見」

1907年、日本人の山田禎三郎が小笠原諸島の近くにて島を発見したとの報告を行いました。彼はオガサワラ諸島から560浬の位置で探検に赴き、小笠原諸島に所属する島として登録されました。この発見報告には、島の外周が約6.67 km、面積が約2.13 km2と詳細が示され、サンゴ礁などの植生や、リン鉱石が存在することなども言及されました。

しかし、山田の報告には疑問が残る部分が多く、この島の位置が日本水路誌に記載されたガンジス島の座標とは異なっていました。日本政府は1908年に中ノ鳥島を公式に認定しましたが、その後再発見はされず、大正時代には周辺海域での調査が実施されたものの、いずれも空振りに終わっています。

最後の不在確認

1943年には中ノ鳥島とガンジス礁は海軍の水路図から削除され、1946年には連合国軍によって不在が確認されました。同年11月の水路告示第46号では「中ノ鳥島及びその北方約14浬に存在する疑存礁は認められなかった」とされ、正式にその存在が否定されたのです。

謎に包まれた存在

中ノ鳥島については、その発見が本当に行われたのか、あるいは山田が他の島と混同したのか、さらには捏造である可能性すら指摘されています。特に、その海域の水深は約5000メートルであり、島が存在したとしても急速に水没したとは考えにくく、その真実は未だ解明されていません。さらに、山田の発見報告には「高純度のリン鉱石が存在する」との記述があり、この「もうかる島」が詐欺話の材料にされたのではとの疑念も浮かび上がります。

日本政府は1998年の議会で中ノ鳥島の存在について「確認されていない」と明言しており、この幻の島は日本近海の不思議な存在として記憶に留まっています。

まとめ

中ノ鳥島は、かつて日本の領土として認定されながらも、その存在が不確かである点から多くの謎を孕む島です。伝承や歴史的な測量から、この島は完全に消え去った幻影と化しているのかもしれません。

もう一度検索