中井太喜

生涯

大阪府出身の元ラグビー選手、中井太喜（なかい たいき）は、1989年3月21日に生を受け、2013年5月12日にそのあまりにも短い生涯を終えました。享年24歳でした。主にロック（LO）、フランカー（FL）、そしてナンバーエイト（No8）としてプレーした、恵まれた体格を持つ選手でした。

経歴

ラグビーは高校から本格的に始め、強豪校として知られる啓光学園高校（現・常翔啓光学園高等学校）へ進みました。高校2年時にはチームの中心選手の一人として、2005年度の全国高校ラグビー大会に出場し、チームをベスト8に導く活躍を見せました。この頃から、その将来性が注目されるようになります。

高校卒業後、ラグビーの強豪である京都産業大学に進学。大学でもフォワードとして活躍し、卒業後の進路としてトップリーグでのプレーを目指しました。

プロでの活躍

京都産業大学卒業後、2011年にはラグビートップリーグの近鉄ライナーズへ入団しました。即戦力として期待され、その期待に応える形でプロ1年目から頭角を現しました。献身的なプレーでチームに貢献し、その年のチーム新人賞を獲得するなど、鮮烈なトップリーグデビューを飾りました。

プロ2年目となる2012-2013年シーズンでは、近鉄ライナーズの主力選手として欠かせない存在となりました。ジャパンラグビートップリーグの公式戦全15試合にフル出場し、うち12試合では先発メンバーとして試合開始からグラウンドに立ち続けるなど、鉄壁のディフェンスと献身的なプレーでチームを牽引しました。このシーズンでの目覚ましい活躍により、中井選手はリーグ内外から注目を集め、日本代表入りも夢ではないと囁かれるなど、将来を嘱望される存在となりました。まさに、これから選手として最高の時期を迎えようとしていた矢先のことでした。

早すぎる死

順調なキャリアを歩んでいた中井選手に、突然病魔が襲いかかります。2013年2月頃から、腰や背中に原因不明の痛みを抱えるようになりました。当初はラグビーによるものと思われていましたが、症状が悪化し、4月中旬に精密検査を受けた結果、胃と肝臓に悪性腫瘍が見つかったのです。診断は胃癌でした。

すぐに病院に入院して治療にあたることになりましたが、無情にも病の進行は想像以上に速かったのです。治療の甲斐なく病状は刻一刻と悪化していき、入院からわずか1ヶ月も経たない22日後の2013年5月12日、大阪府枚方市内の病院で、中井太喜は胃癌のため24歳というあまりにも短い生涯を閉じました。将来を嘱望された若き才能の突然の訃報は、多くのラグビー関係者やファンに深い悲しみと衝撃を与えました。

人物

寡黙で多くを語らないタイプだったと言われますが、グラウンドに立てば、その熱い闘志をむき出しにし、身体を張った献身的なタックルを厭わない、非常にファイトあふれるプレーヤーでした。フォワードとして、チームのために泥臭いプレーに徹するその真摯な姿勢と、誠実で優しい人柄は、チームメイトやスタッフから厚い信頼と愛情を集めていました。プライベートでは、日本のアイドルグループAKB48の大島優子さんのファンだったという一面も知られています。

24歳という若さでこの世を去った中井太喜選手ですが、短い現役生活の中で見せたひたむきなプレーと、その人柄は、近鉄ライナーズのチームメイトや関係者、そしてファンたちの記憶の中に、鮮やかに刻み込まれています。

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