中先代の乱

中先代の乱

中先代の乱は、建立されてからの鎌倉幕府が政権の安定を欠く中で発生した重要な軍事衝突です。1335年7月、元鎌倉幕府の執権であった北条高時の遺児、北条時行が、御内人の諏訪頼重の支援のもと、鎌倉幕府再興を目指して挙兵しました。時行は当時僅か10歳という若さでしたが、彼の指導で勢力を広め、足利直義軍を打破し、鎌倉を一時的に奪還することに成功しました。この一連の動きが「中先代の乱」として名を馳せています。特に、先代（北条氏）と後代（足利氏）の間での微妙な権力移行の過程が、この乱の歴史的意義を深めています。

背景

鎌倉幕府は、建武の新政により滅亡し、その後、後醍醐天皇の皇子である成良親王が首長となり、足利直義が執権を務める鎌倉将軍府が設立されました。しかし、建武政権は武士階級からの支持が薄く、困難な状況にありました。北条氏の残党が各地で反発し、特に信濃国では彼らの蜂起が目立っていました。

1335年6月、西園寺公宗の陰謀が発覚し、北条泰家が各地の北条残党に挙兵を呼びかけました。それに応じて、信濃に潜伏していた北条時行が擁立され、諏訪頼重や滋野氏の協力を得て挙兵します。彼の指導する軍は青沼合戦で鎌倉将軍府の軍を相手に次々と勝利を収め、時が経つにつれてその勢力を強大化させました。

経過と勝利

7月20日頃、時行軍は女影原や小手指ヶ原で鎌倉将軍府軍を討ち破り、抵抗勢力に対しても圧倒的な勝利を果たしました。支配権が揺らぎ始めた鎌倉将軍府に対し、北条時行はその後も攻勢を続け、ついには鎌倉への進軍に成功します。その結果、彼は鎌倉を制圧し、一時的に鎌倉幕府を再興する形となりました。

しかし、時行の勝利は長続きしませんでした。足利直義が逃走中に、彼の統治に対する不安と、建武政権側からの新たな攻撃がありました。直義は新たな支援を受け、再度の軍編成を行います。彼は鎌倉の治安を取り戻すべく、時行の侵攻を力で抑えようとしました。

衰退と鎮圧

時行は鎌倉を一時的に支配しましたが、次第に劣勢になると、8月中旬にはついに本格的な抵抗に直面します。足利直義が反撃を開始すると、時行軍は徐々に追い込まれ、19日には相模国の辻堂で敗北を喫しました。翌日、時行は鎌倉を離れることを余儀なくされ、その後は南北朝の争いに加わっていきました。

このように、中先代の乱は、北条時行とその支持者たちの壮絶な戦いの歴史を織り成す中で、短いながらも鎌倉幕府の再興を果たした一大事件でした。時行が逃れた後も、彼は南朝とともに戦い続け、最終的には約18年後に捕らえられ、処刑されています。

中先代の乱の影響は、その後の日本の武士階級の政治力に大きな影響を及ぼし、鎌倉幕府ならではの政治的側面を再考させるきっかけともなったのです。

もう一度検索