中内力

中内力（なかうち つとむ）：高知県政を牽引した「リキさん」

中内力は、1912年（明治45年）7月20日に生まれ、2001年（平成13年）11月22日に89歳で没した日本の政治家です。高知県知事を務め、その手腕と人柄で県民から深く愛されました。

生い立ちと経歴

高知県吾川郡（現在の高岡郡越知町）に生まれ、旧制高知県立高知城東中学校（現在の高知県立高知追手前高等学校）を卒業後、大阪で就職しました。帰郷後、高知県体育協会の職員を経て県職員となり、民生部長、厚生労働部長、高知県教育長、副知事を歴任しました。特に、教育長時代には教職員の勤務評定をめぐる闘争で組合側と対峙し、県教育界の正常化に尽力しました。生え抜き職員として初の副知事となった後、1969年に退任。1975年の高知県知事選挙で自民党公認候補として初当選を果たし、県庁生え抜き初の知事となりました。

高知県知事として

中内知事は、1975年12月7日から1991年12月6日までの4期16年間、高知県政を担いました。明治生まれとしては最後の高知県知事です。在任中は、県政の浮揚に尽力し、企業誘致や高知自動車道の開通、高知空港の拡張などを実現しました。また、観光客誘致と地域活性化のため、「国民休暇県・高知」構想を打ち上げ、ヤイロチョウをシンボルマークとした活動も展開しました。その手腕から「やり手」と評される一方で、親しみやすい人柄から「リキさん」の愛称で県民に親しまれました。

政治的には、革新系の強い高知県において貴重な保守系政治家であり、中央政界との関係も深く、中曽根康弘元内閣総理大臣や渡辺美智雄元副総理らとの親交を通じ、県政発展のために人脈をフル活用しました。

逸話

後継者である川崎昭典氏が1991年の知事選で橋本大二郎氏に大敗した際、通常であれば副知事や出納長も同時に辞職するのが慣例でしたが、中内氏は「橋本さんもおまんらあに残ってほしいと言っているそうじゃないか。俺に遠慮はいらん。橋本知事を支えていくのがおまんらあの仕事じゃ」と慰留し、後任を支えるよう促しました。このエピソードからも、中内氏の人間性と県政への深い愛情が伺えます。

著書

自身の人生を振り返った著書として『県庁わが人生』（高知新聞社、1995年）があります。

中内力は、高知県の発展に大きく貢献しただけでなく、その人柄で県民に愛された政治家でした。彼の功績は、高知県の歴史に深く刻まれています。

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