吾川郡

高知県吾川郡の歴史：古代から現代までの変遷

吾川郡は、高知県に位置する郡です。2024年11月1日現在、人口は約24,178人、面積は約803.97平方キロメートルで、人口密度は比較的低くなっています。現在、吾川郡にはいの町と仁淀川町の2つの町が含まれています。

古代からの郡域

吾川郡の歴史は古く、古代には「阿川郡」とも表記されていた可能性があります。確実な史料はありませんが、7世紀の評制施行と同時に設置されたと推測されています。現存する最古の史料は、平城宮跡から発掘された木簡で、「土左国吾川郡」と記されており、天平7、8年頃（735～736年）のものと推定されます。このことから、吾川郡はそれ以前から存在していたことが分かります。天平勝宝4年（752年）の造東大寺司牒には、吾川郡大野郷に東大寺の封戸が50戸あったとの記述があり、郡の存在が確認できます。また、西大寺旧境内からは宝亀2年（771年）以前と推定される木簡が見つかり、「土佐国阿川郡」という記述が残されています。

当初の吾川郡は、現在の桂浜付近から窪川に至る広大な地域を包含していました。しかし、承和8年（841年）に郡域の西部4郷が高岡郡として分割され、現在の吾川郡の範囲は縮小しました。

近世以降の変遷

明治維新初期、吾川郡の全域は土佐高知藩の領地でした。「旧高旧領取調帳」には、48の村名が記録されています。明治4年（1871年）の廃藩置県により高知県の管轄となり、その後、村の合併などが行われました。明治12年（1879年）、郡区町村編制法施行により行政区画としての吾川郡が発足し、郡役所が伊野村に設置されました。

町村制以降

明治22年（1889年）の町村制施行により、多くの村が誕生しました。その後、合併や町制施行などが繰り返され、郡域の構成は大きく変化していきました。例えば、伊野村は単独村制で発足した後、町制を施行して伊野町となり、さらに周辺町村と合併していの町となりました。同様に、池川村も町制施行を経て、周辺町村と合併して仁淀川町となりました。

昭和初期には、長浜村が町制施行し長浜町となりましたが、その後、長浜町、浦戸村、御畳瀬村は高知市に編入されました。また、伊野町や神谷村は土佐郡の村を編入し、規模を拡大しました。昭和29年から昭和31年にかけては、複数の村が合併し、伊野町、吾川村、吾北村、春野村などが誕生しました。さらに平成期には、伊野町、吾北村、本川村が合併していの町となり、池川町、吾川村、仁淀村が合併して仁淀川町となりました。春野町は高知市に編入され、現在の吾川郡の構成となりました。

まとめ

吾川郡は、古代から続く歴史を持ち、その郡域や行政区分は幾度となく変化してきました。近年の合併により、いの町と仁淀川町の2町体制となりましたが、その歴史は複雑で、多くの町村が合併と変遷を繰り返してきたことがわかります。この歴史的変遷を理解することは、現在の吾川郡の姿を理解する上で不可欠です。それぞれの町の詳細な歴史は、さらに個別に調査する必要がありますが、本稿では吾川郡全体の歴史的変遷を概観しました。

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