出納長

出納長とは

出納長（すいとうちょう）は、2007年3月31日をもって廃止された都道府県の特別職の地方公務員であり、主に会計事務を担当していました。この職は改正地方自治法の施行に伴い、役割が変化したことにより終了しました。出納長に相当する市町村の職は収入役と呼ばれています。

設置と役職の背景

出納長は改正前の地方自治法に基づいて必置の役職であり、知事が議会の同意を得て選任する仕組みでした。任期は4年間で、内部統制機能の役割を果たすことから、一旦任命されると知事により解職されることはありませんでした。また、知事や副知事と血縁関係にある者は出納長になることができないため、この役職は知事の指揮下にある副知事とは異なる性格を持っていました。出納長は主に都道府県の会計管理の最高責任者でありましたが、実際にはその他の様々な業務も行うことが多かったため、役職の簡素化が求められていました。

改正地方自治法が2006年5月31日に成立すると、出納長は2007年3月31日をもって廃止され、会計管理者という一般職の地方公務員がその役割を引き継ぎました。この新たな制度の導入により、会計管理業務が一層専門的に行われることが期待されました。改正法施行時に既に在職していた出納長については、任期が終わるまで在職を続けることができる経過措置が設けられました。

改正後、多くの都道府県では出納長が自主的に辞任しましたが、中には解職できない特性を逆手に取って職に留まる者もいました。特に神奈川県における出納長の事例が広く知られており、陣岡啓子氏は任期満了まで批判を受けながらも在職し続けました。その一方で、出納長の選任が議会の同意によるものであったため、政治的な交渉の材料として扱われることもありました。

出納長の職務

出納長は以下のような会計業務を担っていました：

• - 現金の出納および保管の実施（現金の性質を有する証券や基金も含む）
• - 小切手の振り出し
• - 有価証券の出納および保管（公有財産や基金に関連するものを含む）
• - 物品の出納および保管（基金に属する動産も含むが、使用中の物品に関しては含まれない）
• - 現金および財産に関する記録管理
• - 支出負担行為に関する確認
• - 決算の調製とこれを普通地方公共団体の長に提出すること

また、出納長として会計業務を超えた役割も果たし、都道府県を代表して外部の行事に出席することもありました。

下部組織および補助

出納長の業務を補助するため、出納員やその他の会計職員が設置されていました。知事は、出納長の権限に基づいて業務を処理させるために、必要な組織を規則によって設けることができました。このように、出納長は都道府県の会計運営において重要な役割を持ちつつ、改革によりその地位が変化したのです。

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