中国とマレーシアの関係

中国とマレーシアの関係

中国とマレーシアの関係は、1974年の外交関係樹立以来、密接な関係を築いてきました。両国間では、政治、経済、軍事など多岐にわたる分野で協力が進められています。

歴史的背景

冷戦時代、中国は毛沢東の外交政策の下、国際的な左翼組織を支援していました。この影響で、マレーシアではマラヤ共産党（MCP）と、その軍事部門であるマレーシア民族解放軍、そして北カリマンタン共産党（NKCP）が中国の支援を受けて活動していました。これらの共産党組織の構成員の多くが華人であったため、マレーシア政府や一部の国民は、マレーシア国内の華人コミュニティを「第五列」とみなし、警戒感を抱いていました。

しかし、1974年に両国は国交を樹立し、関係は新たな段階に入りました。1991年には、二国間の戦略諮問会議が開始され、両国間の問題や地域情勢について意見交換が行われるようになりました。2010年には、この会議は戦略協議と名称が変更され、両国関係の重要性が増したことが示されました。第1回戦略協議は2011年にプトラジャヤで、第2回は2012年に北京で開催されました。

経済関係

貿易面では、2013年の中国とマレーシアの二国間貿易額は1060億ドルに達し、アジア地域では日本と韓国に次ぐ規模となりました。マレーシアは中国にとってASEAN諸国の中で最大の貿易相手国です。2014年には、国交樹立40周年を記念して、2017年までに貿易額を1600億ドルに引き上げる目標を掲げ、ハラール食品、水処理、鉄道建設などでの経済・金融協力を強化することに合意しました。

軍事関係と南シナ海問題

軍事面では、マレーシアのマハティール元首相は、南シナ海問題に関して、中国を大国として受け入れるべきであり、東南アジア諸国が中国と対立するのではなく、この問題を自ら解決すべきだと主張しています。また、同氏は、中国との良好な外交関係と貿易関係を築くことが重要であるとも述べています。マハティール元首相は、中国の経済成長からマレーシアが利益を得られるという認識を示しており、両国間の協力関係を重視しています。

大使館・総領事館

中国はマレーシアに大使館と複数の領事館を設置しており、マレーシアも中国に大使館と複数の領事館を置いています。具体的には、中国はクアラルンプールに大使館を、ジョージタウン、コタキナバル、クチンに領事館を置いています。一方、マレーシアは北京に大使館を置き、昆明、広州、上海、西安、香港に領事館を設置しています。


中国とマレーシアの関係は、過去の共産党支援の歴史を乗り越え、経済を中心とした協力関係へと発展しています。両国は、貿易、インフラ整備、地域安全保障など、多岐にわたる分野で連携を深めています。マハティール元首相の発言からもわかるように、マレーシアは中国との関係を戦略的に重視しており、両国間の協力は今後も拡大していくと予想されます。

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