中国中車

中国中車（CRRC Corporation Limited）は、中国の中央企業であり、世界最大の鉄道車両メーカーです。その規模は、アルストムやシーメンスの鉄道部門の売上を大きく上回ります。

概要

中国中車は、国有企業改革の一環として、旧中国北車（以下、北車）と旧中国南車（以下、南車）が合併して誕生しました。合併前、両社は海外進出において過当競争を繰り広げ、消耗戦を強いられていました。しかし、中国政府のインフラ輸出政策「一帯一路」などの転換を受け、競争激化を避けるため合併に至りました。

合併は、南車が北車を吸収する形で行われました。この背景には、中国高速鉄道CRH380A型電車の技術が南車の知的財産権であり、完全な国産化を実現していた一方、北車のCRH3型電車は完全な国産化に至っていなかったという技術的な要因がありました。海外進出における競争力と高速鉄道の輸出資格を持つ南車がより大きな発言権を持つことになったと分析されています。

合併後、董事長には北車の崔殿国氏が就任し、南車の鄭昌泓氏は副董事長に就任しました。発足後には、傘下の大連機車車輛有限公司がケニアへ機関車を初輸出するなど、海外展開を積極的に進めました。

また、アメリカ市場にも積極的に進出し、シカゴやロサンゼルスの地下鉄車両を受注しました。これらの車両は、アメリカ復興・再投資法のバイ・アメリカン条項に準拠するため、ボストンやシカゴ近郊に新工場を建設して製造されました。しかし、2019年12月に成立した国防権限法により、政府予算による中国製の鉄道車両やバスの購入が禁止され、中国中車のアメリカ国内での事業は大きな制限を受けることになりました。

歴史

中国中車は、2014年12月30日に、中国国務院国有資産監督管理委員会の直接管理下にあった南車集団と北車集団が合併して誕生しました。2018年には、マサチューセッツ州の車両組立工場が稼働を開始し、ボストン向けの地下鉄車両を生産しています。

2020年には、傘下の中車唐山が、世界初の高速列車用フリーゲージトレインを公開しました。この車両は時速400キロメートルで走行可能で、軌間可変技術は世界初です。

2022年4月には、チェコの鉄道会社レオ・エクスプレスとの間で交わされていた新型電車「シリウス」の納入契約が解消されました。この契約は、中国中車の欧州進出の足掛かりとして注目されていました。さらに、2022年10月には、アメリカ国防総省によって投資禁止対象となるブラックリストに追加されました。

子会社・研究拠点

中国中車は、旧南車と旧北車の子会社や研究拠点を引き継いでいます。主な研究企業には、南車株洲電力機車研究所、南車戚墅堰机車車両工芸研究所、中国北車集団大連機車研究所、青島四方車両研究所などがあります。

主な製造企業には、南車長江車輌有限公司、南車株洲電力機車有限公司、青島四方機車車輌股份有限公司、大連機車車輌有限公司、唐山軌道客車有限責任公司などがあります。商貿企業としては、南車投資租賃有限公司、中車進出口有限責任公司などがあります。

これらの子会社・研究拠点は、中国中車の技術開発と製造を支える重要な基盤となっています。

関連項目

アジアインフラ投資銀行
一帯一路
* 中国南車



中国中車は、世界的な鉄道車両メーカーとして、その技術力と生産能力を活かし、今後もグローバルな事業展開を続けることが期待されます。

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