中国共産党中央弁公庁警衛局中央警衛団

中国共産党中央弁公庁警衛局中央警衛団（ちゅうごくきょうさんとうちゅうおうべんこうちょうけいえいきょくちゅうおうけいえいだん）は、中国共産党の中枢である中南海をはじめとする重要施設の警備を専門に担う軍事組織です。一般的には「中央警衛団」と呼ばれ、部隊番号である「61889部隊」や、かつての「8341部隊」といった別名でも知られています。この部隊は、中国共産党中央弁公庁警衛局の直接的な指揮下に置かれています。

組織構造と指揮系統

中央警衛団は、中国共産党中央弁公庁警衛局に所属しています。弁公庁内部での警衛団に関する任務は、警衛局長が兼務することが多いとされます。また、部隊の編制、後方保障、装備、訓練といった実務的な側面については、中国人民解放軍総参謀部が担当しています。総参謀長は、中央警衛団の練度を定期的に検閲するなど、その状態を把握しています。

この部隊の編制は、中国人民解放軍の一般的な建制単位である「団－営－連－排」とは異なり、独自の「団－大隊－中隊－区隊」という階層構造を採用しています。具体的な編制の詳細は公にはされていませんが、十数個の大隊で構成されていると見られています。特に、1971年に発生した林彪事件以降、要人の安全確保を強化するため、高射機関砲や高射砲といった対空兵器を備えた「機砲大隊」が一つ増設されたとされています。

歴史的経緯

中央警衛団の源流は、1964年に中共中央弁公庁に設置された第9局（警衛局）の創設期に遡ります。当初、第9局が内部の安全管理を担い、中央警衛団が外部からの安全確保を担当するという役割分担がなされていました。

しかし、1969年10月、中ソ対立の激化を受けて、毛沢東の指示により警備・警護体制はより厳格な軍事組織へと再編されることになります。この過程で、警衛局は一時的に「警衛処」へと縮小されましたが、後に警衛処と中央警衛団は統合され、現在の組織の基礎が築かれました。

中央警衛団の歴史において特筆すべき出来事の一つは、1976年10月6日の「四人組」逮捕における役割です。華国鋒の主導で行われたこのクーデターにおいて、中央警衛局の支援を受けた中央警衛団は江青らを逮捕する上で重要な役割を果たしました。この功績を背景に、警衛団はその規模を拡大し、「警衛師」へと昇格、兵力は一時1万人を超える規模に達しました。

しかし、政治情勢の変化に伴い、組織の規模も変動します。1978年12月に開催された中国共産党第11期中央委員会第3回全体会議（三中全会）において、党の長老たちから中央弁公庁の権力肥大を抑制する提言がなされました。これを受けて、警衛師は再び「警衛団」へと縮小されることになり、現在の約7千人規模に至っています。

重要性

中央警衛団は、中国共産党の最高指導部やその関係施設の安全を直接的に守るという、極めて機密性の高い重要な任務を担っています。そのため、その動向は中国の政局とも深く関わっており、単なる軍事組織としてだけでなく、政治的な影響力も持ちうる存在と見なされています。特に、党内の権力闘争においては、指導部の身辺警護を担うこの部隊の忠誠心が重要な要素となり得ます。

参考文献として、『中国軍事決策機制＆台海衝突』などが挙げられます。また、関連する組織や人物としては、中国共産党中央弁公庁警衛局や、かつてこの組織を率いた汪東興などが知られています。

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