中国古典小説選

中国古典小説選について

『中国古典小説選』は、明治書院が2005年から2009年の間に刊行した文学叢書であり、中国古典文学の中でも特に古代から清代にわたる優れた文学作品を厳選して収めています。このシリーズは、竹田晃と黒田真美子が編者代表となっており、明治書院「新釈漢文大系」の姉妹編として位置づけられています。

この叢書では、古代の説話や寓話、漢・六朝時代の志怪小説、さらには唐代の伝奇小説まで、さまざまなジャンルの文言作品が収められており、歴史的な文学の流れを知るために非常に有用です。各作品には「原文」と「書き下し文」が併記され、現代語訳や詳細な解説、語釈も提供されているため、読みやすく理解しやすい形で古典文学を楽しむことができます。また、余説や索引が付いているため、興味のあるテーマや人物を探しやすいのも特徴です。

刊行された書籍の概要

このシリーズには、以下のような多くの重要な作品が含まれています。まずは漢・魏の時代から始まり、例えば『王本紀』や『列仙伝』『山海経』などが収録されています。これらの作品は神話や伝説がテーマとなっており、古典文学の基礎を成すものです。

次に、六朝時代の作品としては『捜神記』や『幽明録』などがあり、幻想的な要素を持つ物語が多く収められています。これに続いて唐代の作品では、さまざまな物語が展開します。名作『離魂記』や『枕中記』、『柳毅伝』などが含まれ、幻想と現実が交じり合うストーリーが展開されます。

宋代以降には、『緑珠伝』や『楊太真外伝』など、女性の人物に焦点を当てた作品も見られます。このように、時代ごとに異なるテーマやスタイルの文学が収められているため、読む人に新たな発見を提供してくれるでしょう。

また、明代や清代の作品も数多く収められており、『剪灯新話』や『聊斎志異』など、語りの巧みさや、深い人間理解を示す作品が並んでいます。特に清代の作品は、短編小説の形式でありながら非常に印象的なストーリーが多く、中国文学の独自の魅力を感じさせてくれます。

最後に、歴代の笑話が収められている点も注目に値します。『笑林』や『啓顔録』など、さまざまなユーモアや風刺が楽しめる作品が納められており、古典文学が単なる教訓や道徳ばかりでなく、読み物としての楽しさも持っていることが伺えます。

結論

『中国古典小説選』は、中国古典文学の豊かさを感じることができる重要な文献集です。古代から清代までのさまざまな文学作品を通じて、中国の文化や歴史を深く理解するための手助けになるでしょう。若い世代から純文学愛好者まで、幅広い読者に楽しんでもらえる内容となっています。

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