中国国民党 (汪兆銘政権)

南京国民党の形成と歴史

日中戦争の真っ只中、汪兆銘は1939年に国民党から離党し、新たに南京に根拠を置く国民党を設立しました。この党は、通常の中国国民党と混同を避けるために「汪偽国民党」や「南京国民党」とも呼ばれました。汪は中華民国の元行政院長でもあり、その政治的背景を活かして新たな政府の形成を目指しました。

国民党第六次全国代表大会

1939年8月28日から30日にかけて、汪兆銘は上海のジェスフィールド76号で密かに国民党第六次全国代表大会を開催しました。この大会では、汪が臨時主席を務め、日中戦争における国内の状況を報告しました。その議題には「党務の再編に関する決議」と、2つの仮議案が含まれており、重慶の蔣介石による全ての決定を無効とすることや、汪自身が国民党中央執行委員会の主席に選出されることが決定されました。

大会では「和平反共建国」をスローガンに掲げ、新たな政治綱領の改定や反共基本国策の決定、日本との国交回復、憲法制定のための国会招集などが可決されました。これにより、汪は統一した国民党の指導者としての地位を強固にしました。

南京国民政府の成立

1940年3月30日、汪は南京に新たな国民政府を樹立しました。これは、重慶から南京への首都移転を象徴し、汪が国民党の正当な後継者であることを示すものでした。「和平建国の十大綱領」を発表し、汪は一党独裁制を持って国民党を政府の唯一の合法的な政党と位置づけました。

当初、南京政府は林森を名目上の政府主席としていましたが、実際には汪が実権を握っていました。彼は「主席代行」として行政院長や国民党中央執行委員会常務委員会主席を兼任していましたが、日華基本条約が締結された1940年11月30日には正式に主席に就任しました。

汪兆銘の死とその後

1944年11月10日、汪は療養先の名古屋で亡くなりました。彼の死後、南京の中央政治委員会は緊急会議を開き、汪の後任として陳公博を政府主席、党主席、行政院長、軍事委員長に任命しました。陳は汪の方針を引き継ぎつつ、戦局の変化にも対応していく姿勢を見せました。

1945年、日本の降伏を受けて、陳と周仏海は南京で中央政治委員会の中間会議を開き、南京政府と南京国民党を含む全ての機関の解散を決定しました。

党のシンボル

汪兆銘の設立した南京国民党のシンボルは、分裂元の国民党のものをそのまま引き継いでいます。党章として青天白日章、党旗は青天白日旗、党歌は「三民主義歌」が使われていました。これらのシンボルは、国民党の伝統を受け継ぐものであり、汪の党の正当性をアピールする要素として機能していました。

まとめ

汪兆銘の南京国民党は、日中戦争という混沌の中で新しい政治のかたちを模索しました。その歴史は、戦争や政権の変遷の中で多くの困難に直面しつつも、彼が築き上げた思想や理念が今に伝わっています。南京国民党の形成とその後の影響は、中国の近代史において重要な位置を占めています。

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