中国大百科全書

中国大百科全書（ちゅうごくだいひゃっかぜんしょ）

『中国大百科全書』は、中国で初めて編纂された近代的かつ大規模な総合百科事典です。中国大百科全書出版社が刊行しており、中国における学術、文化、科学技術に関する集大成として重要な位置を占めています。

各版の展開と特徴

初版

本百科事典の編纂は1978年に始まり、およそ15年の歳月を経て1993年に完成しました。初版は、約8万項目を収録し、60以上の専門分野に分けて構成されています。本編73巻と総索引1巻からなる全74巻として刊行され、総字数は約1億2640万字という膨大な規模でした。各巻はそれぞれ特定の分野に特化しているため、その分野の専門百科事典としても機能するよう設計されています。項目の配列は、全て漢語拼音の順序に基づいています。また、初版からは簡約版や、デジタルメディアに対応したCD-ROM版、さらにはオンライン版も派生しました。

第二版

2009年には、内容を更新し再編集された第二版が出版されました。第二版は、全32巻（本編30巻、索引2巻）に再構成され、収録項目数は6万となりました。約6,000万語の本文に加え、理解を助けるための図版が3万点、そして地図が1,000点収録されており、視覚的な情報も一層充実しています。

第三版とオンライン展開

情報の迅速な変化に対応するため、現在は第三版の編纂とデジタル化が積極的に進められています。2017年9月8日には第三版総編集委員会が設置され、本格的な作業が開始されました。特に注目されるのは、オンラインプラットフォームの整備です。2019年7月に中国百科事典オンラインプラットフォームが開設され、インターネットを通じて百科事典の内容にアクセスできるようになりました。2021年7月24日にはオンライン版の初期バージョンがリリースされ、その後、2023年2月末には大規模なコンテンツの追加が行われました。この時点までに、オンライン版には50万項目以上が公開されており、冊子体としても既に10巻が出版されるなど、継続的に発展を続けています。第三版は、オンラインでの随時更新を核とすることで、情報の鮮度と広範な利用環境を実現しています。

内容構成と創始者

『中国大百科全書』は、人文科学、社会科学、自然科学、工学技術など、非常に多岐にわたる分野を網羅しています。例えば、天文学、外国文学（複数巻）、体育、法学、教育、交通、考古、電子学と計算機（複数巻）、中国文学（複数巻）、物理学（複数巻）、化学（複数巻）、軍事（複数巻）、世界地理、農業（複数巻）、外国史（複数巻）、経済学（複数巻）、数学、化学工業、宗教学、言語・文字、建築・園林・都市計画、地質学、近代医学（複数巻）、伝統医学、心理学、図書館情報学、社会学、政治学といった、およそ60を超える分野がそれぞれ詳細に記述されています。各項目は漢語拼音順に整理されており、これは利用者にとって検索しやすい構造となっています。

この大規模な百科事典事業の創始者として、中国大百科全書出版社で初代編集長を務めた姜椿芳氏の功績が挙げられます。

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