中国社会科学院

中国社会科学院は、中華人民共和国における哲学および社会科学研究の最高学術機関であり、総合的な研究センターとしての役割を担っています。国務院直属の事業単位として位置づけられ、中国政府の政策立案に大きな影響力を持つシンクタンクとしても機能しています。4200名を超える研究者を擁し、31の研究所と45の研究センターを運営しており、世界80カ国、200以上のシンクタンクや高等研究機関と日常的な交流を行っています。

沿革

中国社会科学院は、文化大革命後の1977年5月に、中国科学院の哲学社会科学学部を基礎として新設されました。一部の研究所は、中国科学院時代から存在しています。初代院長には胡喬木、第2代院長には馬洪、第3代院長には胡縄、第4代院長には李鉄映が就任し、現在の院長は陳奎元が務めています。

研究所

中国社会科学院は、多岐にわたる分野の研究を行っており、以下のような研究所を有しています。

経済研究所
哲学研究所
世界宗教研究所
考古研究所
歴史研究所
近代史研究所
世界歴史研究所
文学研究所
外国文学研究所
語言研究所
法学研究所
民族研究所
世界経済研究所
工業経済研究所
農村発展研究所
財貿経済研究所
ニュース・放送研究所
マルクス主義研究院
社会学研究所
人口研究所
少数民族文学研究所
世界経済と政治研究所
米国研究所
日本研究所
台湾研究所
欧洲研究所
東欧中央アジア研究所
西アジアアフリカ研究所
ラテンアメリカ研究所
中国辺疆史地研究センター

これらの研究所では、各分野における高度な研究が日々進められています。

出版物

中国社会科学院は、学術研究の成果を広く社会に発信するため、以下の学術雑誌を発行しています。

『中国社会科学』
『歴史研究』
『考古』
『哲学研究』
『経済研究』
『法学研究』
『文学評論』
『世界経済』

これらの雑誌を含め、合計82種類の学術雑誌を発行しています。また、直属事業部である中国社会科学出版社からは、各種学術書籍が刊行されています。

地方社会科学院

中国各地には、各省、自治区、直轄市、および主要都市に地方社会科学院が設置されています。これらの地方社会科学院は、地方政府の管轄下にあり、中国社会科学院とは連携関係にありますが、中国社会科学院の地方組織（地方支部）ではありません。例として、上海社会科学院、遼寧社会科学院、吉林省社会科学院、黒龍江省社会科学院、哈爾濱市社会科学院などが挙げられます。

活動

中国社会科学院は、歴史研究においても重要な役割を果たしており、特に中国東北部・旧満洲における歴史研究プロジェクトである東北工程を主宰しています。このプロジェクトでは、2004年に広開土王碑を中心とした高句麗遺跡が『高句麗前期の都城と古墳』として世界遺産に登録されました。しかし、高句麗史の扱いをめぐっては、朝鮮史に属すると主張する韓国との間で歴史認識の相違があり、議論を呼んでいます。また、中国東北部・旧満洲における南満洲鉄道研究の中心地として「満鉄研究センター」を吉林省長春に設立しており、歴史問題を政治利用しようとする意図があるとの指摘もされています。満洲国の皇帝だった愛新覚羅溥儀を研究する「溥儀研究院」が長春で創設された際も、中国社会科学院は設立に立ち会いました。

関連項目

日中歴史共同研究
獨協大学 - 学術交流協定校

外部リンク

中国社会科学院公式サイト（中国語）
中国社会科学院考古研究所公式サイト（中国語）
* 中国社会科学院日本研究所

中国社会科学院は、中国の社会科学研究において中心的な役割を担っており、その活動は多岐にわたります。学術研究だけでなく、政策提言や国際交流においても重要な貢献をしています。

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